研究課題
1)BBN誘発マウス膀胱癌モデルの発癌判定:C57BL/6マウスに対してBBN(東京化成)0.05%濃度(遮光)を投与。16週・異形成、18週・CIS、20週・浸潤性とした。2)BCG膀胱内注入マウスモデルの作成:イムノブラダー膀注用 80 mg を用いて26.7 mg/ml の濃度に調製し、ムノブラダー懸濁液 50μlを膀胱内に注入することとした。3)NAD+のマウス腹腔内投与に対するCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞の免疫学的変化の確認:NAD+の腹腔内投与がなされたマウスにおいて、FACSでCD4+IL10+T細胞及び、CD4+IFNγ+T細胞の発現がPBSを腹腔内に投与したコントロール群に比較して、優位に上昇していることを確認。本年度、更にCD8陽性T細胞に関して解析を行いNAD+の腹腔内投与がなされたマウスにおいてCD8+IFNγ+T細胞及びCD8+TNFα+T細胞の発現がPBSを腹腔内に投与したコントロール群に比較して、優位に上昇していることを確認した。4) BBN誘発マウス膀胱癌モデルに対してNAD+の腹腔内投与を行う適切なタイミングの検討:BBNを18週間投与した、CISの状態に対してNAD+の腹腔内投与の効果を確認することとした。18週にわたりNAD+の腹腔内投与をすることはコスト的にもマウスに対する侵襲的にも適切ではないと考え、異形成となる16週のまえ15週の時点でNAD+の腹腔内投与を開始した。投与の間隔、部位などを工夫し行ったが3週間のNAD+の腹腔内投与はマウスの状態を悪化させる要因ともなった。また、摘出した膀胱病理では悪性腫瘍は発現していないもののNAD+投与の影響と思われる炎症所見が非常に強く、判定が困難である個体が大半であった。今後、投与方法を再検討する必要があると考えている。
3: やや遅れている
本研究では、完全な本来の免疫応答を得られることが必要であり、また免疫が賦活している状態での癌発生に関しても検討する必要があるためBBN誘発マウス膀胱癌モデルを使用している。本モデルはマウス作成開始から浸潤癌となるまで18週間を要する決して効率の良い実験系ではない。今後マウス癌細胞の移植する方法を用いて膀胱癌同種移植モデルでも、NAD+の効果が検討できないか実験を重ねていく予定である。
NAD+投与方法を再検討すると同時に、BNN投与中のマウスにおける免疫的変化を、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞に対して、FACS,ELISA,といった手段を用いて検討する。また、時間的な効率化を図るため膀胱癌同種移植モデルの使用も検討を進める。
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American Journal of Transplantation
巻: 22 ページ: 402-13
10.1111/ajt.16856.