研究課題
進行性腎細胞癌患者では慢性炎症状態にあり、myeloid-derived suppressor cells (MDSCs)と呼ばれる好中球様形態を示す免疫抑制細胞が出現して癌免疫応答を抑制している。従って、癌に対する治療効果を増強するには、MDSCsの制御が必要である。以前、我々は腎細胞癌患者の末梢血中に存在すMDSCsをglycosylphosphatidylinositol anchored protein 80 (GPI-80) 発現量とその変動係数を用いて解析する方法を確立している。MDSC抑制治療の開発を目標として、免疫チェックポイント阻害剤を用いた薬物療法治療前・治療中の腎細胞癌患者末梢血中のMDSCsの数や機能の変化をGPI-80およびその他の免疫パラメータを用いて解析し、GPI-80の治療効果予測マーカーとしての有用性を検討した。その結果、治療中にMDSCs指標(CD16発現量とLAP-1発現量)が上昇した症例では、抗腫瘍効果が認められなかった。免疫チェックポイント阻害剤治療時に生じる免疫関連有害事象を認めた症例では、MDSCs指標のGPI-80変動係数が低下していた。完全奏効例と進行症例の比較において、完全奏効例では治療開始前の末梢血中にGPI-80発現量が上昇した好中球が有意に増加していた。GPI-80高値は、NF-κBの活性化に関与しており、好中球の癌免疫能亢進と関連し、免疫チェックポイント阻害剤の効果を予測できる可能性が考えられた。
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