研究課題/領域番号 |
19K09705
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河合 弘二 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (90272195)
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研究分担者 |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
根来 宏光 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80708595)
星 昭夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90453711)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / ホスホリパーゼD / アンギオゲニン / がん微小環境 / 浸潤 |
研究実績の概要 |
PLDシグナルを介した膀胱癌の浸潤メカニズム解明のため、マウスBBN膀胱発癌モデルにおいて経時的に各マウス(WT、PLD1-KO、PLD2-KO)の膀胱を採取した。前回の予備実験と同様に、WTと比較してPLD1-KOにおいて上皮内癌および浸潤癌の発生割合が有意に低下した。8w、12w、16wにおける各マウスの凍結した膀胱サンプルよりRNAを抽出し、現在RNAシークエンスの解析を行っている。 予備実験にてPLD1の発現が高かったヒト膀胱癌細胞株(5637、253J)において、レンチウイルスベクターシステムを用いてPLD1ノックダウン(PLD1-KD)を行った結果、PLD1-KD株において細胞浸潤能の有意な抑制を認めた。PLD1-KD株とコントロール株の遺伝子発現変化をPCRアレイで検討した結果、ANGの有意な変化は見られなかったが、コントロール株と比較してPLD1-KD株においてMMP13の有意な低下を認めた。前述のマウスBBN膀胱発癌モデルで採取した膀胱サンプルのRNAを用いてqPCRを行った結果、WTでは経時的な膀胱発癌とともにMMP13のmRNA発現量が有意に増加したが、PLD1-KOでは経時的な増加は見られなかった。これらの結果より、MMP13は膀胱癌の浸潤メカニズムにおけるPLD1の下流分子である可能性が考えられた。 in vitroおよびin vivoにおいて、PLD1発現抑制におけるがん浸潤の抑制を確認した。今後は下流分子として想定しているMMP13において、腫瘍部、非腫瘍部(腫瘍微小環境)における発現の比較を、マウスBBN膀胱発癌モデルの膀胱サンプルおよびヒト膀胱癌サンプルにおける免疫組織化学染色で検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の1つ目の目的として、PLDシグナルによる浸潤メカニズムを明らかにするために、マウスBBN膀胱発癌モデルを用いた経時的な膀胱サンプルの採取およびHE染色による膀胱発癌の組織学的評価を行った。また採取した膀胱サンプルよりRNAを抽出し、RNAシークエンスを行った。現在、次世代シーケンサーより得られた結果に基づき、WTおよびPLD1-KO、PLD2-KOマウスの発現変動遺伝子解析を行っている。 ヒト膀胱癌細胞株にてPLD1-KD株を作成し、コントロール株と比較してPLD1-KD株において細胞浸潤能の有意な抑制を認めた。この2群間における遺伝子発現変化をPCRアレイで検討した結果、ANGの変化は見られなかったが、MMP13の有意な変化を認めた。がん浸潤に関連するANG以外のPLDシグナルの下流分子として、MMP13を候補として想定している。 本研究の2つ目の目的である膀胱癌・非臨床モデルにおけるPLD阻害剤の有効性を検証するため、今後はマウスBBN膀胱発癌モデルを用いて、PLD阻害剤の投与による各マウスにおける膀胱発癌の変化を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスBBN膀胱発癌モデルにおけるWTおよびPLD1-KO、PLD2-KOマウスの発現変動遺伝子解析で得られた結果に基づき、ANG、MMP13以外のがん浸潤に関連するPLDシグナルの下流遺伝子を選定する。各マウスにおける経時的なmRNAの発現変化をqPCRで検討し、有意な発現変化を伴う候補遺伝子を絞り込む。これらの候補遺伝子において、腫瘍部、非腫瘍部(腫瘍微小環境)におけるタンパクの発現変化を、マウスおよびヒト膀胱癌サンプルにおける免疫組織化学染色で検討する。 膀胱癌・非臨床モデルにおけるPLD阻害剤の有効性を検証するため、今後マウスBBN膀胱発癌モデルを用いて、PLD阻害剤の投与による各マウスにおける膀胱発癌の変化を検討している。さらにin vitroでの検証として、ヒト膀胱癌細胞株において、PLD阻害剤投与による細胞浸潤能の変化も評価する予定である。また、細胞ライセートないし培養上清におけるmRNAの発現変化を、前述したPLDシグナルの下流遺伝子候補を中心に調べる予定である。
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