研究課題/領域番号 |
19K09708
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
渡邉 昌俊 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90273383)
|
研究分担者 |
上村 博司 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (50244439)
石井 健一朗 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90397513)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 前立腺癌細胞 / 脂肪細胞 / microRNA / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
多くの固形癌では、癌細胞の内因的な特性のみならず、腫瘍微小環境との相互作用が癌細胞の進展に影響を与えると考えられている。特に、前立腺癌では、ホルモン治療に対する抵抗性(去勢抵抗性)、化学療法や放射線療法に対する抵抗性が獲得される要因とも考えられている。その腫瘍微小環境は、癌細胞以外に線維芽細胞、脂肪細胞、免疫系細胞、血管、細胞外マトリックスなどから構成される。このような腫瘍微小環境で、癌細胞でのmicroRNA発現制御およびエクソソーム(細胞外に分泌される小胞)を介した細胞間のコミュニケーションが新たに注目されている。 本研究では、前立腺癌細胞と脂肪細胞の相互作用(仮説)に着目し、前立腺癌の腫瘍微小環境を模したin vitro培養系で、脂肪細胞により誘導される前立腺癌細胞のmicroRNAの発現および機能解析を行った。前立腺癌細胞と脂肪細胞との相互関係に関して、脂肪細胞の前立腺癌細胞への一方向性の刺激を仮定し、脂肪細胞より得られた培養液(CM:conditioned medium)を利用して、前立腺癌細胞(DU-145, PC-3)の細胞挙動(増殖、移動、浸潤能)およびmicroRNA発現の網羅的解析を行った。従前の報告と同じように、CMのもとで、増殖、移動、浸潤能は有意に亢進した。また、microRNAプローブ200個の階層的クラスタリングで、DU-145とPC-3は遠く離れたクラスタを形成し、発現が大きく異なることを認めた。変動した主要なmicroRNAとして、miR-5787を抽出し、発現の再確認を行い、CMで発現上昇するmiR-5787の機能解析を行い(分担・協力機関)、増殖能や移動能に関係することが明らかに出来た。これらより、microRNA発現制御を介して、脂肪細胞が前立腺癌細胞に影響を与えることを証明した。
|