研究課題/領域番号 |
19K09710
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
本田 正史 鳥取大学, 医学部, 准教授 (20362890)
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研究分担者 |
武中 篤 鳥取大学, 医学部, 教授 (50368669)
引田 克弥 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (50403407)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 下部尿路機能 / 膀胱内圧測定 / カリウムチャネル開口薬 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、薬剤膀胱内注入による膀胱内圧測定がスムーズに実施可能な安定した実験系を確立するため、Cyclophosphamide(CYP)により誘発される膀胱過活動に対するrSNSR1 agonistの膀胱内注入の効果を検討した。雌Sprague-Dawley(SD)ラットを使用し、CYP投与48時間後にウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を施行した。rSNSR1 agonistである、BAM8-22(300, 1000, 3000nM)を膀胱内に持続注入した。BAM8-22の膀胱内注入はCYP誘発膀胱炎ラットモデルの排尿間隔および排尿閾値圧を容量依存的に増加させた。研究者は、今までの研究でrSNSR1 agonistがラット排尿機能に一定の効果があることを確認していたため、本薬剤を使用して実験系の確認を行った。 また、電位依存性カリウム7(Kv7)チャネル開口薬の脊髄腔内および脳室内投与の効果を調べる前段階として、脊髄腔内投与および脳室内投与の方法を確立するため、今までの予備実験で一定の効果を確認している代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)作動薬を用いた実験を行った。具体的には、Group I mGluR agonistであるRS-3,5-DHPG、Group II mGluR agonistである2R,4R-APDC、Group III mGluR agonistであるL-AP4の脊髄腔内および脳室内投与が正常ラットの排尿反射に与える影響を検討した。結果として2R,4R-APDCおよびL-AP4の脊髄腔内および脳室内投与は、正常ラットの排尿間隔および排尿閾値圧を容量依存的に増加させることが明らかになった。この研究成果は2020年米国泌尿器科学会に採択され発表予定であったが、新型コロナウィルスの世界的流行に伴いAUA2020は中止となることが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電位依存性カリウム7(Kv7)チャネル開口薬のラット下部尿路機能への影響を調べるため、令和元年度は様々な投与経路と測定方法(膀胱内圧測定)に関する実験系の確立を進めた。その過程で今後の研究を遂行する上で必要となる実験系の確立を行うことができ、またいくつかの新たな知見を得た。そのため、おおむね順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、令和元年度の研究成果を踏まえ、電位依存性カリウム7(Kv7)チャネル開口薬のラット正常下部尿路機能に与える影響を調べる。具体的には、①Kv7チャネル開口薬膀胱内注入のウレタン麻酔下連続膀胱内圧測定各パラメーターに対する効果、②Kv7チャネル開口薬を用いた膀胱組織切片の等尺性張力実験、③膀胱でのKv7チャネルサブタイプ発現量の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品として購入を予定していた試薬、ガラス・プラスチック容器などは、既に購入していた物品で実験を遂行することが可能であったため購入を差し控えた。購入を予定していた微流速シリンジポンプについて、既存の機種でも十分に対応可能であることが判明したため購入を差し控えた。これらの理由により次年度使用額が生じた。 令和2年度以降の経費の主要な用途は消耗品であり、実験動物、試薬、ガラス・プラスチック容器を購入する計画である。また、学会で研究成果を公表し情報 交換するために必要な出張経費、および国際学術誌での論文発表の際の諸経費として使用する予定である。
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