研究実績の概要 |
令和元年(2019年)、令和2年(2020)、令和3年(2021年)度は、電位依存性カリウム7(Kv7)チャネル開口薬の脊髄腔内および脳室内投与の効果を調べる前段階として、今までの予備実験で一定の効果を確認している代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)作動薬を用いた実験を行った。Group I mGluR agonistであるRS-3,5-DHPG、Group II mGluR agonistである2R,4R-APDC、Group III mGluR agonistであるL-AP4の脊髄腔内および脳室内投与が正常ラットの排尿反射に与える影響を検討した。結果として2R,4R-APDCおよびL-AP4の脊髄腔内および脳室内投与は、正常ラットの排尿間隔および排尿閾値圧を容量依存的に増加させることを解明した。また、神経ペプチドであるghrelinが膀胱内圧測定に与える影響についても検討した。ghrelinの経静脈的投与は、用量依存性に排尿間隔を有意に延長させた。また、この効果はnaloxoneの静脈投与により抑制された。この結果からghrelinがオピオイド系を介して排尿反射を抑制する事が示唆された。本成果は国際学術誌に報告を行った。 令和4年(2022年)度は、Kv7チャネル開口薬封入膜融合性リポソームの膀胱内注入が、ウレタン麻酔下の膀胱内圧測定に与える影響について検討を行った。Kv7チャネル開口薬の濃度を様々に変更し、検討を行ったが一定の効果はあるように思えるものの、予想された濃度依存性の変化は認めなかった。Kv7チャネル開口薬封入膜融合性リポソームの作成方法やこの薬剤の注入速度などを検討し、今後も本研究課題を進めていく予定である。
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