研究課題
進行性膀胱癌に対する一次治療としてゲムシタビン(GEM)とシスプラチン(CDDP)を用いた併用化学療法(GC療法)が推奨されている。しかしながら化学療法に対する耐性化が問題となっている。本研究はGEM耐性に着目し、新たな治療法の可能性を検討した。始めにヒト膀胱癌細胞株(BOY,T24)をGEM添加培養液で12ヶ月ほど継続して培養し、GEM耐性株(GEM-R-BOY,GEM-R-T24)を樹立した。親株、耐性株でsmall RNAシークエンス解析を行い、GEM耐性に関与しているmicroRNA (miRNA) を検索した。候補miRNAをGEM耐性株に形質導入して機能解析を行った。次にRNA次世代シークエンス解析を用いて標的遺伝子の検索を行い、標的遺伝子ノックダウンによる機能解析を行った。GEM-R-BOY・GEM-R-T24細胞株は親株と比べIC50で7倍以上の濃度差を認め、in vitro/vivoともに有意にGEM抵抗性を示した。次世代シークエンス解析を含めたin silico解析でmiR-99a-5pを候補に挙げた。miR-99a-5pの過剰発現は増殖能、遊走能、浸潤能を抑制し、GEM耐性株においてGEM感受性が改善することが示された。miR-99a-5pの標的遺伝子として、RNAシーケンス解析からSMARCD1に着目した。ルシフェラーゼレポーターアッセイでは、miR-99a-5pがSMARCD1を直接制御することが示された。si-RNAを用いた機能喪失試験では増殖能、遊走能、浸潤能が抑制され、GEM感受性が回復した。miR-99a-5pの過剰発現やSMARCD1のノックダウンはin vivoにおいても増殖能を抑制した。さらに、βガラクトシダーゼ染色により、miR-99a-5pの誘導とSMARCD1の抑制が、p21の誘導を通じて細胞老化に寄与していることが示された。
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Molecular Oncology
巻: 16 ページ: 1329-1346
10.1002/1878-0261.13192