研究課題/領域番号 |
19K09719
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松原 弘樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00530362)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
浮村 理 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70275220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膀胱平滑筋 / direct reprogramming / ダイレクトリプログラミング / 膀胱線維化 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
膀胱線維化(Bladder fibrosis)は神経の異常によって膀胱の収縮が慢性的に妨げられた状態が続くと起こる不可逆的な病態である。平滑筋細胞の萎縮や喪失、膀胱間質内の線維芽細胞から分泌される細胞外マトリックスの過剰な沈着により、膀胱収縮能と膀胱容量が低下し、頻尿や残尿増加をきたしうる病態であり、治療法は確立されていない。我々は最近、MYOCD遺伝子を導入すると、ヒトのfibroblasts(線維芽細胞)を平滑筋細胞に変えられる(ダイレクト・リプログラミング)ことを見出した。本研究ではこの技術を、bladder fibrosisに対する新しい再生医療の樹立につなげるための基礎実験を行う。 本年度はex vivoについては、ヒト線維芽細胞にMYOCD遺伝子を組み込んだウイルスベクターを導入し、平滑筋細胞への誘導を行った。結果としてreal-time RT-PCRで平滑筋細胞に特徴的なマーカーの上昇を確認することができた。また同時に薬剤Xを添加すると上記のマーカーがさらに上昇することが分かった。 in vivoについては、マウス膀胱へのウイルス導入効率を確認するために、GFP遺伝子を組み込んだウイルスベクター液をマウス膀胱へ直接注入し膀胱のGFP蛍光を顕微鏡にて確認したところ、膀胱の一部にGFP蛍光を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト線維芽細胞にMYOCD遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを導入し、平滑筋細胞に特徴的なマーカーの上昇を確認することができた。マウス膀胱へのウイルス導入効率を確認するために、GFP遺伝子を組み込んだウイルスベクター液をマウス膀胱へ直接注入し、膀胱のGFP蛍光を顕微鏡にて確認したところ、膀胱の一部にGFP蛍光を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
膀胱平滑筋の遺伝子発現のプロファイリングを行うために、マウスの膀胱平滑筋細胞の初代培養方法について検討する。純度の高い平滑筋細胞をとるためにFACSなどにてソーティングを行う。初代培養が可能となれば、MYOCD遺伝子を導入した誘導平滑筋細胞からRNAを採取して、次世代シークエンス解析を行い、膀胱平滑筋細胞と比較を行う。 また正常マウス膀胱へのウイルス感染方法が確立できていないため、レトロウイルスベクター液の濃縮率や注入量、針刺入時の深さなどの検証を行い、最適と思われる方法を模索する。また同時に、膀胱への細胞移植方法についての検討も行う。その後免疫不全マウスのbladder fibrosisモデルを作成し、上記の誘導平滑筋細胞を膀胱へ移植する。そのマウスの排尿行動を解析し、膀胱機能を評価する。移植後経時的に膀胱を摘出し、免疫組織化学染色やreal-time RT-PCRで移植細胞の生着と誘導効率を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[次年度使用額が生じた理由]研究の進行状況に応じて必要となる機器に係る使用額が、当初の計画に比べ少額で済んだため。 [翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画]申請時の使用計画に従い、実験用試薬・消耗品及び旅費・論文投稿料・学会参加費等に使用する予定である。
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