研究課題/領域番号 |
19K09722
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
日下 守 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40309141)
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研究分担者 |
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
関島 光裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (20568589)
山田 和彦 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40241103) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 腎移植 / マージナルドナー / 臓器保護 / 前臨床実験 / ミニブタ |
研究実績の概要 |
心停止下献腎移植(DCD)では本研究の課題である蘇生すべき移植臓器変化が予測され、death signalを中心とする解析が必要である。先行研究でcfDNAに関する解析が終了し、total cell free DNA(total cfDNA)に着目し、移植直後における血中のtotal cfDNA を解析した。心停止下献腎(DCD)では脳死(BD)、生体腎移植(LD)と比較し、明らかに移植直後のtotal cfDNAが著しく増加していることが判明した。さらに移植後5日目(POD5)の検討では移植直後より減少を認めるものの、その傾向は変化していなかった。 ミニブタを用いた腎移植では、共同研究を行っている鹿児島大学において、欧米ですでに臨床応用される灌流保存用の機器を用いて、温虚血にさらされた腎臓を、低温灌流保存法による保存を行った後に移植し、灌流中の流量や抵抗などの種々の指標を得るとともに、移植後長期評価(腎機能あるいは経時的な腎生検に基づく病理評価)を行う慢性実験系を確立した。これまでに、温虚血腎を常温灌流保存法によって保存し、保存中および移植後の機能評価を行う手法を確立していることから、今後、保存方法や条件によって移植腎の機能がどのように異なるのかという点について、病理評価あるいはdeath signalの解析(灌流液・組織・血液・尿・エクソソームなどを用いた解析)が可能となる実験基盤が整ったと考える。また今後、低温もしくは常温灌流保存法を行っている際に、移植前臓器蘇生(腎修復)を行いうるか点を明らかにするための実験基盤が完成したと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、臨床検体を用いた検討およびミニブタを用いた腎移植実験について今後の研究を進めるための基盤整備が整ったと考えるため、概ね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
さらにミニブタを用いた腎移植実験についてはDCD腎移植に即して温虚血を設けた腎移植モデルに対して、令和元年度に確立した低温潅流保存実験で得られた検体をもとに病理組織や組織検体を用いたdeath signalの解明を進める(目的2の推進)。また低温および常温灌流保存の際にどのような条件で灌流を行うのかという点についてミニブタを用いた移植実験を進め、脳死/心停止マージナル腎を生体に近い状態に維持するための至適体外腎灌流条件の検討を推進する(目的1の推進)。cfDNAに関する解析は、time pointをPOD1,5に加えてPOD3でも検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費使用の内容は、消耗品による物品費ならびにcfDNAに関しての委託研究費に充てた。繰り越しが少額ではあるが発生した。
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