研究課題/領域番号 |
19K09722
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
日下 守 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40309141)
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研究分担者 |
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
関島 光裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (20568589)
山田 和彦 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40241103) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 腎移植 / マージナルドナー / 臓器保護 / 前臨床実験 / ミニブタ |
研究実績の概要 |
灌流保存を行う際に、どのような条件で保存を行うのがよいのかという点について、特に、最適な灌流温度や酸素投与などに焦点をあてたMHC確立クラウン系ミニブタを用いた研究を継続した。常温灌流保存の際には酸素投与が必須であるが、低温灌流保存法については酸素投与の必要性あるいは有効性について検討の余地がある。昨年度までに、常温灌流保存法と低温灌流保存法については手法を確立していたが、昨年度実施した研究では、低温灌流保存については市販の器機の使用による無酸素下での保存であったため、今年度は酸素投与下の低温灌流保存法を行う手法の確立を目指し研究を進めた。まず常温灌流保存を行う人工心肺回路を用いて検討したところ、低圧・低流量で安定した腎灌流を行うことができなかった(常温灌流では85 mmHgという高圧力下での灌流保存となるが、低温灌流では灌流圧は25 mmHg程度の圧力下での低流量となる)。これは、灌流に使用する回路が長いため低圧力・低流量での安定灌流が難しいためと考えて、低温灌流保存に使用する装置を用いた検討へと方針を変更した。文献を参照に、酸素投与を可能とする簡易的な人工肺回路を回路に接続し、安定した酸素投与下での灌流保存が行えるように改良を行った。その結果、酸素投与・血液添加下でも腎臓がない状態では安定した灌流が得られることを確認し、装置の改良は完成したと考える。今後この改良装置を用いて、強い温虚血にさらされたドナー腎を用いた腎移植実験を行い、至適灌流臓器保存法の決定を行い、目的を達成しいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、ミニブタを用いた腎移植実験について酸素投与下の低温灌流保存法を行う手法の確立を行い、装置の改良は完成したと考える。今後改良した装置を用いて、強い温虚血にさらされたドナー腎を用いた腎移植実験を行い、至適灌流臓器保存法の決定を行い、目的を達成したいと考える。今後の研究を進めるための基盤整備が整ったと考えるため、概ね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に改良が完成した回路を用いて、低温灌流保存の際に酸素投与(赤血球を添加)を行いながらミニブタ心停止ドナー腎の保存を行い、常温保存、無酸素低温灌流保存、従来の単純冷却浸漬保存を行ったこれまでの実験結果と、術後腎機能の推移について比較を行い、温虚血ドナー腎を用いた腎移植における至適臓器保存法を確立したい。併せて、灌流液、あるいは臓器保存中時や術後の生検検体、術後の血清などを用いて種々の解析を行うことで、death signalの解析についても進めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に検査見込みであった実験系の一部が滞り持ち越しとなったため
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