研究課題/領域番号 |
19K09729
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 哲太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (60612835)
|
研究分担者 |
松原 昭郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10239064) [辞退]
亭島 淳 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (20397962)
安井 弥 広島大学, 医系科学研究科(医), 名誉教授 (40191118)
井上 省吾 広島大学, 病院(医), 講師 (90457177) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 薬剤耐性膀胱がん / PD-1抗体 / NOTCH2/HEY1シグナル |
研究実績の概要 |
転移性膀胱がんに対する1次治療(GC療法)の奏効率は約60%までであり、最終的にはほとんどの症例がGC療法耐性となる。2次治療として抗PD-1抗体の有効性が示されたが、その奏功率は約25%までであり、新規治療法の確立が課題である。私たちは細胞表面受容体のNOTCHに注目し、NOTCH2が上皮間葉移行とがん幹細胞性の維持を介して膀胱がんの進展を促進し予後不良因子であること、抗NOTCH2抗体はNOTCH2シグナルを遮断することで膀胱がんの進展を抑制することと、膀胱がんのbasalサブタイプは、がん微小環境内への免疫細胞浸潤が多く、PD-L1が高発現することから抗NOTCH2抗体と抗PD-1抗体のcombination治療が有効となる可能性が高いと考えた。 研究期間中に発表された論文としてもLawson ARらはNOTCH2の病的変異が膀胱癌の進展に寄与する可能性を示し(Science 2020)、Zhou ZらはCAFが分泌するMFAP5がNOTCH2/HEY1シグナルを介して膀胱癌の進展に関与することが報告された(The FASEB journal. 2020)。 さらに私たちの解析した抗がん剤耐性膀胱癌細胞株では、NOTCH2の発現上昇とともにSTAT1の発現上昇も認められ、臨床検体での抗がん剤耐性膀胱癌でもSTAT1の高発現症例では、PD-L1の高発現とCD8陽性T細胞の腫瘍内浸潤が亢進しているという結果が得られた。NOTCH2発現とSTAT1発現は、抗PD-1抗体による治療の効果予測因子となると考えられる。
|