研究課題/領域番号 |
19K09730
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 義明 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30593298)
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研究分担者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
藤田 悠介 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40509527)
硲 彰一 山口大学, 医学部, 教授(寄附講座等) (50253159)
松山 豪泰 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70209667)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗PD-1抗体 / 尿路上皮癌 / 腎細胞癌 / マイクロサテライト不安定性 / ミスマッチ修復蛋白 / ミスマッチ修復遺伝子 |
研究実績の概要 |
泌尿器癌の臨床的因子に着目したバイオマーカーの開発として、抗PD-1抗体にて治療を行った尿路上皮癌121例の症例を対象に、血液リンパ球数、好中球数、CRP値を基に、尿路上皮癌に対する抗PD-1抗体の治療効果を予測するアルゴリズムを作成した。また、抗PD-1抗体にて治療を行った腎細胞癌65例の症例を対象に、血液リンパ球数、血小板数、LDH値を基に、腎細胞癌に対する抗PD-1抗体の治療効果を予測するアルゴリズムを作成した。 マイクロサテライト不安定性(MSI)に関連したバイオマーカー探索として、尿路上皮癌30例、腎細胞癌30例の腫瘍由来DNAと血液由来DNAを使用し、マイクロサテライト領域(BAT-25、BAT-26、NR-21、NR-24、MONO-27)のMSI解析を、PCRベースの電気泳動と遺伝子チップ(マイクロアレイ)を用いて行った。 抗PD-1抗体で完治した転移性MSI尿路上皮癌を認め、そのメカニズムの検証として、ミスマッチ修復蛋白(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の発現を免疫染色にて評価した。原発腫瘍と転移腫瘍でミスマッチ修復蛋白の発現低下を認めた。更に、抗PD-1抗体著効例に対する網羅的解析によるバイオマーカーの探索として、全エクソームシーケンスを用いた網羅的解析を行ったところ、原発腫瘍と転移腫瘍でミスマッチ修復遺伝子の変異を認めた。以上の結果より、MSIとミスマッチ修復遺伝子の変異が、尿路上皮癌に対する抗PD-1抗体の治療効果を予想するバイオマーカーになり得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
泌尿器癌の臨床的因子に着目した抗PD-1抗体のバイオマーカーの開発として、腎細胞癌と尿路上皮癌に対する、血液因子を用いた抗PD-1抗体の治療効果を予測するアルゴリズムを作成した。 マイクロサテライト不安定性に関連したバイオマーカー探索としては、腎細胞癌と尿路上皮癌60例のMSI解析を行ったが、1例のみしかMSI癌を同定することができなかった。 そこで、泌尿器癌に対する抗PD-1抗体の治療効果を予測するアルゴリズムと遺伝子チップを作成するための、+αの予測因子を同定する上で、便と口腔内由来マイクロバイオームのDNAを用いた網羅的解析を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
抗PD-1抗体にて治療を行った尿路上皮癌20例(30例を目標)、更に、抗PD-1抗体にて治療を行った腎細胞癌20例(30例を目標)に、便と口腔内由来マイクロバイオームの解析を、菌由来DNAを用いて次世代シーケンサーにて網羅的な解析を行っている。 泌尿器癌に対する抗PD-1抗体の治療効果を予測する便と口腔内由来マイクロバイオームを同定し、それらを、それら由来DNAを用いて遺伝子チップ(マイクロアレイ)で診断する方向で研究を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
便と口腔内由来マイクロバイオームのDNAを用いた、次世代シーケンスによる網羅的解析を行うため。
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