研究課題/領域番号 |
19K09731
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40404256)
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研究分担者 |
大庭 康司郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20593825)
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フェロトーシス / 腎癌 / 新規治療戦略 |
研究実績の概要 |
腎癌(別名:腎細胞癌)の病勢進行あるいは悪性度に鉄代謝あるいは鉄動態が重要な役割を果たすことを研究代表者の所属する研究グループはこれまで報告してきた。一方、鉄に依存する細胞死はフェロトーシスと呼ばれ、フェロトーシスの存在が、種々の癌細胞あるいは悪性腫瘍の原因となる各細胞における悪性度などの生物学的特性に関与している可能性がこれまでに諸家より報告されている。しかし、フェロトーシスが腎癌で果たす分子生物学的意義あるいは病理学的役割については不明な点が多い。そこで腎癌細胞株を用いた実験系により、フェロトーシスの制御により生じる分子生物学的特徴の変化を観察し、さらに、動物実験モデルを用いた実験系により、各種治療薬の治療効果判定を行う。上記実験結果に基づいて、フェロトーシスが関与すると考えられる病理学的特徴とフェロトーシスに関連する事象の解析を行う。そして、上記の腎癌細胞株および動物モデルの結果を総合的に検討することで、腎癌におけるフェロトーシス関連分子の同定を目指す。次にフェロトーシス関連分子の腎癌患者組織における発現の有無あるいは分子生物学的機能の有無を検討する。フェロトーシスの臨床病理学的役割あるいは分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬といった現在使用されている腎癌治療薬の治療効果や生命予後とフェロトーシスの関連を明らかにすることで、腎癌組織あるいは実臨床におけるフェロトーシスの果たす役割や分子生物学的制御機序を解明する。その結果が腎癌の新たな予後予測モデルおよび腎癌新規治療薬などの新規治療戦略の構築に有用な情報を提供することを期待して、実験計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
淡明細胞腎癌細胞株あるいは非淡明細胞腎癌細胞株などの各種腎癌細胞株に実臨床で使用可能である各種腎癌治療薬を投与し、鉄代謝阻害薬を用いた実験系により、アポトーシスと異なる評価方法を用いた細胞死を同定することによりフェロトーシス特有の事象を観察する。ここで各腎癌細胞株に特異的な変化を観察し、フェロトーシスに関連する病理学的特性を同定する。さらに病理学的特性に関連する現象と因子を同定を目指しており、その結果をまとめている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験により同定できた現象と腎癌細胞癌株を用いた実験系によりフェロトーシスに関与する因子の関連性をまとめ、より強力な関連因子を同定する。動物実験モデルを用いて、関連因子のフェロトーシスへの関与を確認する。さらに腎癌臨床検体を用いて、フェロトーシス関連因子の発現の有無あるいは発現程度について評価を行い、腎癌の悪性度及び進行度との関連性について検討する。各種実験系と臨床検体の相同性について評価を行い、腎癌治療に関連する臨床応用の可能性について検討する。さらに新規治療薬あるいは治療戦略への応用の可能性について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるにあたり、物品購入を適宜行っているが、当該年度は予定していた金額より安価に必要物品を購入することができたため、次年度使用額が発生した。次年度使用額については、消耗品に使用する予定である。
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