研究実績の概要 |
令和2年度までに当初の研究計画を全て実施終了(一部不成功により中止)したため、令和3年度から新たに下記の研究を追加実施することとした。 「HELLP症候群ならびに重症妊娠高血圧腎症における補体制御因子の遺伝子変化の探索研究」 HELLP症候群妊婦において、補体の異常活性化が報告されている。HELLP症候群において、エクリズマブ(補体C5に対するモノクローナル抗体)で著しく改善した、という海外からの報告がある。(わが国おいては、エクリズマブ投与はHELLP症候群では保険適用はない。)HELLP症候群ならびに妊娠高血圧腎症では先天的な遺伝子変化が見つかっていない。しかし、非典型溶血性尿毒症症候群の40-60%に補体制御因子の先天的な遺伝子変化(CFH, CFI, CD46, C3, CFB, THBD, DGKE, CFHR5遺伝子のタンパク質コード領域エクソンとその両端のスプライス部位領域)が見つかっている。 臨床ではHELLP症候群と非典型溶血性尿毒症症候群は症状が似ているため、鑑別診断が必要である。したがって、この先天的な遺伝子変化がHELLP症候群ならびに重症妊娠高血圧腎症の妊婦においても認められるかを明らかにする。このことが明らかにできると、新たな有効な治療法を開発することに役立つと考えられる。 本研究を令和3年度から開始し、令和4年3月31日までに3症例、令和5年3月31日までにさらに6症例、合計で9症例のHELLP症候群症例に対して、同意取得の上で、血液検体を採取し補体制御因子の先天的な遺伝子変化を測定した。その際、補体価も同時に測定した。
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