研究実績の概要 |
株式会社JMDCの保有する大規模レセプトデータベースを用いて、アムロジピンおよびメチルドパを含む降圧剤への最初の3ヶ月間の曝露による催奇形性リスクを検討した。2010-2019年に出産した女性91,390人のうち、妊娠初期の降圧剤曝露による催奇形性リスクは,妊娠初期に高血圧性疾患と診断された女性1,185人を対象に評価した。アムロジピンおよびメチルドパの曝露の催奇形性リスクを、妊娠初期に処方された女性177人を対象に評価した。アムロジピンおよびメチルドパのmajor congenital malformations(MCM)の調整済みORは、それぞれ1.172(95%CI 0.350-3.919)および0.938(0.313-2.807)であった。結論として、妊娠初期のアムロジピンやメチルドパを含む抗高血圧薬の使用は、乳児のMCMリスクと関連しなかった。 同レセプトデータベースを用いて、免疫抑制薬であるカルシニューリン阻害剤(CNI)の妊婦の使用状況を調査し、乳児への安全性を評価した。対象とした妊婦33,941人のうち、妊娠前180日から産後180日の間にCNIを処方された女性は15人、妊娠中に投与された女性は15人中6人で、そのうち3人が早産であった。妊娠中の CNI 使用に起因すると考えられる先天異常はなかった。 エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)で、宮城ユニットセンターの追加調査として実施した妊婦の薬品使用を調査した。追加調査の薬剤質問票に回答した母児組は3634組であった。抗リウマチ薬に着目すると母親11人が妊娠中に使用していた。出産児のうち1人がMCMを有した。
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