研究課題
われわれは、これまでに慢性子宮内膜炎が、着床障害となること、この理由として脱落膜障害、EMTの障害、T細胞亜群の分布異常をきたすこと、IL1、Il6、TNFαの分泌が子宮内膜間質より増えることを明らかとしてきた(3論文投稿中)。慢性子宮内膜炎の治療としてラクトフェリンの使用は、現在まで報告がなく世界で初めての試みである。生体内で産生され安全性の高いラクトフェリンの投与により、慢性子宮内膜炎を治療することが可能となれば、抗菌薬による治療に頼らず、より生理的に近い治療の開発につながる。1)腟内、頸管内、子宮腔内のラクトフェリン濃度と慢性子宮内膜炎の濃度についての研究については、慢性子宮内膜炎との相関はないと考えられる。現在、ヒトラクトフェリンおよび抗ラクトフェリン抗体濃度測定を研究している、予備実験を終了し、現在、患者の血液検査を集めている段階である。慢性子宮内膜炎患者の検体が60検体以上集まれば測定する予定である。2)腟内、子宮内細菌叢の変化については、現在、検体をストックしている段階である。3)4)慢性子宮内膜炎患者にラクトフェリンを600㎎/日を内服していただくと、約82%で慢性子宮内膜炎が治癒した。現在これらの治癒後の患者に凍結融解胚盤胞移植を実施しており、抗菌薬治療により治癒した患者を対照として凍結融解胚盤胞移植を行い妊娠率、胚着床率、継続妊娠率、妊娠予後を比較検討する予定である。5)慢性子宮内膜炎患者の子宮内膜検体を採取し、子宮内膜間質細胞単離し、牛ラクトフェリンを添加して培養すると10micro g/ml以上の濃度となるとIL1、Il6、TNFαの分泌量の低下が認められた。
2: おおむね順調に進展している
このまま計画通り研究を進めていく。
一部予定を変更し研究計画書に従って研究を進めていく。
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