研究実績の概要 |
ゲノム医療は目覚ましい発展をとげ,従来から行われている治療法に加え,遺伝子解析で得られた結果により分子標的治療が使用されるようになってきた。しかしゲノム解析結果からわかるようにゲノム変異情報だけによって構成されるPrecision medidineには限界があり、より細やかなpersonalized medicineに繋ぐためにはゲノム変異だけでなく、RNA変異を加味することが必要である。本研究は子宮体癌の最も予後不良で難治性である癌肉腫においては有効な標的因子がなく,癌における遺伝子解明を行い,革新的新規治療戦略の構築を試みる。癌発生や進行にはDNAメチル化やヒストン脱アセチル科などの遺伝子変異を伴うエピジェネティックな異常の関与が示唆され、DNAメチル化やヒストン修飾の異常は低分子RNAにより制御されていることが知られている。当院でも2015年より病理部と協力し,癌成分を類内膜癌(Type I)と非類内膜癌(Type II)に分け,検討し,非類内膜癌が再発に非常に強く寄与していることを認め, p53と関与していることを認め, 癌成分と肉腫成分のp53発現は90.1% (46症例/51症例)が一致しており, 単一クローンから発生している可能性を示唆した。子宮体部癌肉腫に対し, miRNA, RNA, DNAメチル化発現に対する詳細な検討がなされ,miR-200a, miR-200b, miR-429が子宮体部癌肉腫に大きく関連していることが報告されているが,しかしながら再発や予後などの検討はなされていない。そこで我々は癌成分と肉腫成分の詳細なゲノム変異を行うとともにmicroRNA発現を確認し,microRNA創薬の有効性を研究する予定であり, 現在子宮体部癌肉腫作用機序解明とともに新規標的治療開発を展開している。
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