研究課題/領域番号 |
19K09753
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 圭一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90359886)
|
研究分担者 |
増山 寿 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30314678)
小川 千加子 岡山大学, 大学病院, 講師 (50583035)
松原 侑子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 非常勤研究員 (50835139) [辞退]
松岡 敬典 岡山大学, 大学病院, 助教 (60835057)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 癌肉腫 / RNA編集 |
研究実績の概要 |
がん遺伝子パネル検査での子宮体癌のゲノム変異出現は約40%と比較的高い頻度で認められるものも治験を含め,治療に役立つ有用な遺伝子情報は提供できていないのが現状である。そこで我々はRNA編集に着目し,新規診断・治療戦略を考えている。従来,DNAからRNA への転写,タンパクへの翻訳は,いわゆる「セントラルドグマ」として絶対的なカスケードとして信じられてきたが,近年,転写された RNA において,特定の塩基が他の塩基へと変換される「RNA 編集」の現象が発見され,DNA の塩基配列が絶対的なものではないことが徐々に認知されてきた。RNA編集によってRNA転写後の塩基の修飾が行われ,インターフェロン経路の変化を引き起こすことが知られており,RNA編集酵素の一つであるAdenosine Deaminase family Acting on RNA1 (ADAR1)について,今回研究を行った。近年肝細胞癌,食道癌,胃癌,大腸癌などの癌腫において報告されてきたが,子宮体癌におけるRNA編集の検討は未だ報告がなく,子宮体がん、特に子宮体部癌肉腫について,詳細にRNA編集の意義について検討した。子宮体癌症例を解析した結果,ADAR1およびantizyme inhibitor 1(AZIN1)の発現レベル上昇は組織型に関連しており,ADAR1とAZIN1 RNAレベルがいずれも上昇していた症例は予後不良であった。 ADAR1 ノックダウンによりインターフェロン経路に作用し,Bakとアポトーシスが増加を認め,当研究は子宮体癌におけるRNA編集の意義について検討した初めての独創的な研究であり,子宮体癌バイオマーカーとなりうることだけでなく,新たな治療ターゲットとなりうることを示した。
|