分娩前後に起こる脳障害は解決すべき大きな課題である。硫酸マグネシウム(Mg)は、切迫早産や妊娠高血圧症に使用されており、臨床的には児の脳障害を予防する可能性が示されている。妊娠中に一度投与されると、その後の分娩時にMg濃度が正常化していても脳保護作用を示す可能性を我々は臨床的に捉えた。そこで動物実験で実証した結果、少なくとも24時間前、臨床では数週間前までにMgが投与されていれば、その後の分娩時に低酸素虚血負荷があっても脳障害をある程度軽減できることが判明した。Mg前投与の治療時期に関して更なる検討が必要であるが、予防的投与で脳障害が半減する可能性がある。
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