研究課題/領域番号 |
19K09760
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
結城 由香子 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80812354)
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研究分担者 |
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (50539244)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
照井 克生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90256074)
宮本 守員 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 産科婦人科学, 講師 (90738923)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工酸素運搬体 / 産科危機的出血 |
研究実績の概要 |
本研究では妊娠末期のウサギに産科危機的出血を生起させ、凝固障害、血小板低値、貧血を伴う出血性ショックの病態モデルを確立する。さらに赤血球輸血の代替物として開発されたHemoglobin Vesicle(以下HbV)を投与して、急性期の救命効果を検証し、産科一次施設から集約的治療が可能な大規模病院に到着するまでの初期治療としてHbVが赤血球(以下 RBC)輸血を代替しうるかを検討する。
【実験】妊娠末期のウサギを開腹し,子宮間膜の動静脈の根部付近を切離して自由出血させた。出血から60分間、5分毎に出血量と等量のHbV:25%アルブミンの4:1混合液を投与した。陽性対象群としてRBCとPPPを1:1で輸血した。陰性対象群は5%アルブミンを投与し、各々の血行動態等を経時的に観察した。 【結果と考察】60分間の総出血量は212+125mlだった。60分後のHb濃度(平均値)はHbV群(n=4)で8.6 g/dL、RBC群(n=2)で10.8 g/dL、アルブミン群(n=4)で 2.4 g/dLであった。平均動脈圧は、HbV群は60 mmHg前後、RBC群で50 mmHg後半を維持できた。いっぽうアルブミン群 は40 mmHg前後であった。60分後の乳酸値もHbV群は 1.6 mmol/L、RBC群で0.7 mmol/Lと正常範囲内であった。いっぽうアルブミン群は4.3 mmol/L と上昇を認めた。 出血開始からHbVを投与することで出血性ショックを回避できる可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HbVを投与することで産科危機的出血を回避できる可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記のモデルの初期治療は臨床で用いられる膠質液等を使用して、産科危機的出血を生起させたのちにHbVを投与することで出血性ショックから回復させることが可能であるかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 私的理由(出産、育児等)で研究を十分に進めることができなかったため。 (計画) 今年度は研究分担者を追加し、研究を勢力的に進めていく予定である。
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