研究課題/領域番号 |
19K09762
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
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研究分担者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10209702)
内田 明花 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445236)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 着床 / 子宮内膜上皮 |
研究実績の概要 |
生殖補助医療における妊娠成立までの多くのステップのうち、胚移植後のステップでのロスが最も多いことが知られている。これまで、胚移植の成績をあげるために、慢性子宮内膜炎の診断・治療、かつて子宮内膜日付診と称されていた、子宮内膜の分化の程度と着床の窓と呼ばれる着床至適期間(implantation window)の個人差による乖離に対しての遺伝子学的網羅検査、Th1/Th2の免疫バランスの是正など、さまざまなアプローチが試みられてきている。臨床現場でスクラッチと称される移植前の子宮内膜への機械的意図的損傷は子宮内膜の再生プロセスを惹起させ、理由は不明なままながら、着床率をあげるとの報告がある。ただし、残念なことに大規模研究の不足を主因として、いずれも圧倒的な有意差をもっての効果が証明されたものがなく、着床率は伸び悩んでいる。 本研究では、子宮内膜上皮細胞(Ishikawa細胞)、同間質細胞(THEC)、絨毛細胞(JAR)を用いて、in vitro での着床モデルに供して、スクラッチによる細胞へのダメージがもたらす子宮内膜環境への変化を解析している。 これまでに、スクラッチで確実に破砕される最上層の子宮内膜上皮細胞の人為的破砕によって得られる細胞内溶液の添加によって、胚モデルの着床率、貫入率が有意に上昇する可能性を示すデータを得ている。臨床における機械的刺激では、子宮内膜間質細胞層にもダメージが及ばざるを得ないが、子宮内膜間質細胞においても、破砕による細胞内溶液を添加し培養をすると、細胞の接着能や運動能に変化がもたらされることが明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19による研究環境の制限に加えて、ともに実験、解析を担っていた大学院生の家庭の事情から、研究の長期離脱を余儀なくされ、研究実施の人的要因による大幅な遅れが生じたため。そのために、研究期間の延長申請に至った。
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今後の研究の推進方策 |
研究に従事するマンパワー不足は解消していないため、遂行速度に難があるものの、子宮内膜上皮、子宮内膜間質それぞれの細胞層で破壊による内溶液漏出にはじまり、再生のプロセスにおいて、運動率、着床率(接着率)に影響を及ぼす可能性が強いことから、本来、層で形成されている、上皮細胞、間質細胞双方のクロストークの存在が予想される。そのため、上皮細胞、間質細胞とで個々に出現する破砕による、細胞の能力変化が共存した場合に、同様の影響が継続するのか、あるいは相加的、相乗的、対称的などのクロストークを示唆する影響の変化が出現するのかという点にフォーカスして、1年間で解析をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記の通り、COVID-19による実験環境の一部制限が一時的に起こっていたこと、本研究に従事協力していた大学院生の家庭の事情による長期離脱によって、実験遂行能力に著しい減少を強いられたため、大幅な進捗の遅れをみた。 研究進捗遅延の原因が、解析結果によるものではなく、上記の通りの遂行能力の低下によるもののため、資材購入も停滞傾向となり、予定額の消費にいたらなかったため、次年度への繰越を申請した。次年度は当初の計画通り細胞機能の解析のための器材、消耗品の購入等に充て、研究を進める。
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