研究課題/領域番号 |
19K09763
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 准教授 (00338451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強出力集束超音波 / 胎児治療 |
研究実績の概要 |
1)電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーの作成 研究代表者はこれまで単焦点式HIFUトランスデューサーを用いて、イメージング用・治療用ともに2次元アレイを用い、動物実験からヒト胎児治療への臨床応用に成功してきた。一方で、その過程において単焦点式HIFUトランスデューサーでの胎児治療における弱点が検討課題として挙げられた。その課題として治療対象となる焼灼領域がこれまでの単焦点式HIFUトランスデューサーを用いて、イメージング用・治療用ともに2次元アレイでは焼灼対象である焦点の正確性が劣る可能性である。電子電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーを用いることで三次元的に焦点が制御可能となることで、平面方向のみならず深さ方向への焼灼部位の選点が可能となる。本年度は脱気冷却循環装置を一体化させた次世代型電子制御可変焦点式マルチチャンネルHIFU治療器を開発することとした。アレイ型に配置された256チャンネルのHIFU照射振動子およびイメージング探触子を一体化させ治療用HIFUトランスデューサーを作成し、同HIFUトランスデューサに脱気循環装置からの送水排水用のダクトを装着し、冷却された脱気水で満たされた専用超音波プローブカバーに納める形とした。脱気水中で正常に作動することを確認した。 2) HIFU専用ファントムを用いた精度確認 1)で作成した電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーを用いて脱気水中にHIFU専用ファントムを収め、診断用超音波断層装置を用いてHIFU照射実験を行った。仮想焦点上にHIFUによるファントムの白色変性が認められ、またその焦点も可変的に可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は上記で動作確認できた電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーを用いて幼若豚で肝臓実質および腎葉間血管の遮断実験を行う予定であったが、電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーの完成に時間を要した(特に音響整合層とヒート・シンクと接地電極を兼ねた軽合金基板の作成部分を数回やり直しため)。平成31年度3/4期までに行う予定でその後引き続き動物実験に以降予定であった。年齢マッチングする動物との兼ね合いで2月下旬に動物実験開始を予定していたが、ウイルス感染症の流行により動物実験施設への移動を伴う実験が行うことができなかったため動物実験の開始ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度後半から2020年度にかけて動物実験を完了する予定であったが、2020年度から動物実験の開始とする予定である。2019年度に作成した電子制御可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサーでまずファントムで正常作動が確認する。正常作動を確認した後動物実験に移る。幼若豚の肝臓実質焼灼および腎葉間血管の遮断実験を行い病理学的に検討を行う。可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサを使用して、HIFU専用ファントムで設定された焦点と実際の照射部位の精度を確認し、さらに照射領域ボリュームを実サイズ及び3D超音波で計測し、両者を比較し相関をとる。キャリブレーション終了後に幼若ブタを全身麻酔下でHIFU照射実験に供する。HIFU照射の諸条件の初期設定は研究代表者らの先行研究の知見を基にして行う。対象臓器は肝臓実質及び腎臓葉間動静脈とする。肝臓照射はHIFU照射により実質臓器を壊死に導けるかどうか、すなわち組織焼灼の効果を、腎臓葉間動静脈照射は血流遮断により治療効果が期待できる疾患すなわち双胎間輸血症候群などの治療を想定している。安全性の確認も同時に行う。具体的には①プローブに接触した皮膚の病変、②焦点領域以外の組織の病変、③HIFU照射時の循環機能の変化を検討する。被HIFU照射臓器の照射部位を2D、3D超音波で確認後に摘出しHE染色、Elastica van Gieson染色を用い病理標本を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた動物実験が開始できなかったため。次年度以降に繰り越し、次年度の動物実験に充てる予定。
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