チョコレート嚢胞を有する女性において嚢胞摘出術を行うと、35歳以上では残存卵巣機能が障害され、妊孕能が低下するが、35歳未満では妊孕能が維持されることを見出し、2020年にActa Medica Kindai Universityに論文発表した。 一方、嚢胞反復穿刺吸引術+ジェノゲスト併用療法は、チョコレート嚢胞合併不妊患者の生殖補助医療(ART)の治療成績に影響しないことが明らかとなった。しかし、大きなチョコレート嚢胞や反復ART不成功例に対して、有用な可能性があると考えられた。 また、チョコレート嚢胞の発生メカニズムを分子的に探索しようと異所性子宮内膜腺管をレーザーマイクロダイセクションで回収し、PIK3CA変異解析を行ったところ、高頻度PIK3CA変異を認めることが明らかとなった。さらに、PIK3CA変異は正所性子宮内膜にも認められることが明らかになった。そして、内膜症関連卵巣癌におけるPIK3CA変異も確認した。このように、子宮内膜症はoncogenic mutationを有する腫瘍性病変であることも明らかとなった。
|