研究課題/領域番号 |
19K09768
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小松 正明 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 副チームリーダー (70750842)
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研究分担者 |
浜本 隆二 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80321800)
金子 修三 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (10777006)
浅田 健 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (70773414)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卵巣がん / マルチオミックス解析 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
卵巣がんは婦人科腫瘍で最も予後不良であり、早期診断や創薬への応用を志向した新規治療標的・感受性マーカーの探索には、卵巣がんの腫瘍特性を規定する分子生物学的メカニズムを包括的に解明する必要がある。これまでの報告では、卵巣がんの発がん機序において、エピゲノム異常の寄与割合が高いことが示唆されている。しかし、臨床検体を用いた網羅的なクロマチン構造解析の技術的難易度は非常に高く、その実験精度や再現性に問題が生じている。そこで、代表的なエピゲノム解析手法であるChIP-seq解析に対してロボット技術を導入することにより、非常に煩雑な実験手技の自動化、より高精度で再現性の高い結果を得ることを目指す。また近年、深層学習などの人工知能技術の発展により、従来の解析手法では困難であった高次元・非線形の主成分分析や、多層化ビッグデータをマルチモーダルに解析することが可能となった。卵巣がんの発がん・進展に関する複雑な分子ネットワークの包括的理解に向けて、臨床検体のChIP-seq解析データを含むマルチオミックス解析の実現を目指す。 よって、本研究課題では、(1) ロボット技術を用いた大規模数の卵巣がん臨床検体エピゲノム解析、(2) 人工知能技術を用いた卵巣がんマルチオミックス解析、(3) 卵巣がんの発がんに関する分子生物学的メカニズムの包括的解明を目指す。2020年度は、上記(1)におけるロボット技術を用いた臨床検体ChIP-seq実験系を構築し、(2)(3)に向けた卵巣がんマルチオミックス解析を継続しており、研究は概ね順調に進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣がん臨床検体に適したChIP-seq用のサンプル調整、および汎用ヒト型ロボットに対して実験器具・プログラム設定を行い、卵巣がん臨床検体ChIP-seq解析の実験系を構築した (Kaneko S et al., Cancers, 2021)。また、同一症例の卵巣がん・対側正常卵巣の前向き手術検体や、卵巣がん発がんモデル細胞株のChIP-seq・RNA-seqの比較解析により、発がん段階におけるクロマチン構造変化の網羅的解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画に基づき、ロボット技術を用いて卵巣がん臨床検体に対して高精度で再現性の高いChIP-seq解析を実施する。ChIP-seq・RNA-seqを含むマルチオミックス解析により、卵巣がん発がん段階におけるクロマチン構造変化の網羅的解析を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は実験系構築・検証を主とし、解析費用は限定されたため。 2021年度は解析費用他に使用いたします。
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