研究実績の概要 |
常位胎盤早期剥離(PA: Placental Abruption)は、全妊娠の0.4-1.0%に発症し、遺伝・環境因子が複雑に関与する多因子疾患であるが、いまだ明確な原因は不明である。喫煙、若年・高齢妊娠、妊娠高血圧腎症(PE:Preeclampsia)合併、PAの既往などの多くのリスク因子が報告されているが、人種/民族差も大きいことが知られている。我が国においては、本疾患に関連する大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS: Genome Wide Association Study) の報告はなく、遺伝的要因の究明が求められている。本研究は、世界的にもユニークな大規模出生三世代コホートの検体・情報(妊婦22,493名の登録)を用い、日本人のゲノム解析に最適化されたジャポニカアレイによる、妊産婦(母)・父・児の複雑な遺伝効果を考慮に入れたゲノムワイド関連解析(EMIM/PREMIM, BMC Bioinformatics 2012) を行う。具体的には、これまで報告された疾患感受性遺伝子変異の日本人PAにおける妥当性の検証を行い、さらに新規のゲノム変異の探索を行う。加えて、これらのゲノム変異情報に、疾患に有意に関連する血漿メタボローム解析情報、疫学的情報を加えることで、疾患発症予測式の構築を目指す。
2022年度は、対象症例の血漿メタボローム解析結果と周産期臨床情報との関連解析を進め、研究成果の取りまとめを進めている。
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