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2019 年度 実施状況報告書

がんサバイバーの生殖補助医療におけるMRTの応用を目指した研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K09772
研究機関東北大学

研究代表者

立花 眞仁  東北大学, 大学病院, 准教授 (30431571)

研究分担者 志賀 尚美  東北大学, 大学病院, 助教 (20595558)
渡邉 善  東北大学, 大学病院, 助教 (40722567)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん生殖 / 卵子凍結 / ミトコンドリア / 核移植 / 細胞質移植
研究実績の概要

今年度は、一つの凍結未受精卵の雌性核(4n)全てを用いての4つの兄弟胚作成の実現可能性、および効率を検証することを目的としていた。まず、MST、PB1T、PB2Tの実現可能性を確認するべく、核(紡錘体、第一極体、第二極体、前核)の単離と移植が行えるかを確認した。MSTに係る紡錘体の単離は5μg/mlのサイトカラシンBにて100%の効率で可能であった。PBTに係る第一極体の単離は、細胞質と分裂後期の紡錘体のブリッジの遺残を認めた。しかし、それらをMSTに用いる紡錘体可視化システムで的確に除外して待機し、完全な減数分裂の終了を待つことで効率が上がった。一方、第2極体の単離はより強固な細胞質間ブリッジにより、受精後9時間程度待つ必要があった。前核の単離は通常細胞骨格阻害剤のノコダゾールを要する。しかし、ノコダゾールは胚発生を阻害するためサイトカラシンB濃度を検討し、10μg/mlへ上昇させたところ、ノコダゾールを使用しなくても100%に近い効率で前核単離が可能であった。また、通常のIVF卵子を10μg/mlのサイトカラシンBに30分浸しても、胚盤胞率は76.2%と問題ないことを確認した。しかしながら、前核の大きさのみで雌性前核を正確に見極めるのには限界があることがわかった。また、ICSIについても4周期22個に行い、90%以上の生存率を確認している。卵巣移植実験にて用いるIVMについては、71%の成熟率を得て、安定したIVMを確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたICSIのセットアップが遅れ、ICSIを要する実験が2020年に入ってから開始されたが、それ以外のIVMなどの実験を前倒しにして準備を行っているため決定的な遅れはない。

今後の研究の推進方策

現在、MST、PB1Tを新鮮卵で開始している。効率的な胚発生が確認されたのちに、凍結胚でも行うため、現在並行して凍結胚のストック作成を行っている。現状、雌性前核の判別の問題が解決されていないため、まずはMSTとPB1Tによる2つ兄弟胚を作成し、凍結融解卵によるICSI胚を対象として、MST胚、PB1T胚において再構築率、In Vitroでの胚発育を検証し、胚盤胞到達胚はATP定量(ルシフェラーゼ法)、ミトコンドリア遺伝子ダメージ解析やコピー数解析(Mitochondrial DNA copy number assay kit & damage assay kit, Detroit R&D)、免疫染色による細胞数などの比較検討を行う。一部の胚盤胞はICR偽妊娠マウス(2.5-3.5dpc)の子宮へ移植。In Vivoの発育は産仔の獲得をもって確認し、次世代の妊孕性は交配によるF2獲得にて確認する。また、卵巣の自家移植についても、予備手術と卵巣組織凍結の修練から開始する予定である。また、雌性前核の描出には遺伝子改変マウスなどの仕様が必要となるかもしれない。一つの方法としては、雌性前核は雄性前核に比較して高メチル化状態を示すため、ヒストンメチル化の可視化が可能なマウスの探索などを進めていく。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は今年度の研究をICSIの問題に伴い停滞し、マウスの発注が予想より少なかったことにより発生した未使用額である。令和2年度請求額と合わせて令和2年度の実際にMSTとPBTによる組み合わせにより兄弟胚の作成効率と胚発育の検証のための実験消耗品に使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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