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2022 年度 実施状況報告書

卵胞の成熟と絨毛細胞分化を制御する新たな共通因子Hippo経路の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K09777
研究機関福井県立大学

研究代表者

水谷 哲也  福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (90322734)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードYAP / TAZ / 絨毛細胞 / 顆粒膜細胞
研究実績の概要

Hippo pathwayは、細胞増殖や器官サイズを制御するシグナル伝達系として明らかになっている。Hippo pathwayによるシグナルは、最終的に転写共役因子YAP/TAZの活性を制御することで様々な遺伝子の発現を調節している。
我々は、絨毛細胞由来BeWo細胞やヒト栄養膜幹細胞を用いた解析より、YAP/TAZは細胞性栄養膜(Cytotrophoblast: CT)細胞の維持に必須であり、これらの活性低下が合胞体栄養膜(Syncytiotrophoblast: ST)細胞への分化に重要であることを明らかにしている。そこで正常妊婦のCT細胞においてもYAP/TAZの活性低下がST細胞への分化に重要であるかを明らかにするため、初代培養CT(pCT)細胞を用いて検討した。インフォームドコンセントが得られた正常妊婦胎盤よりpCT細胞を単離し初代培養を行った。pCT細胞は時間経過によりST細胞へと分化することが明らかになっている。そこでpCT細胞に恒常性活性化型YAP(YAP-5SA)を導入しST細胞特異的遺伝子の発現を検討した。その結果、YAP-5SAの導入により多くのST細胞特異的遺伝子の発現が抑制されることから、初代培養系においてもST細胞への分化にはYAP/TAZ活性の低下が重要だと考えられた。
また、卵巣顆粒膜細胞KGN細胞を用いてYAP/TAZノックダウンによるエストロゲン産生に対する影響についても検討した。その結果、cAMP刺激のない状態でもYAP/TAZノックダウンによってエストロゲンの産生が顕著に促進されることが明らかとなった。このように、YAP/TAZの活性が機能的にも重要であることが明らかとなった。
以上の結果から、YAP/TAZは卵巣と胎盤における機能調節に重要な役割を担っていることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通り、卵巣顆粒膜細胞においてYAP/TAZによるステロイドホルモン産生調節について新たな知見を得た。また、胎盤絨毛細胞においてもYAP/TAZが分化の調節に重要性であることを示した。このように、YAP/TAZが胎盤と卵巣機能を調節する新たな共通因子であることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

卵巣と胎盤において、YAP/TAZの重要性を示すことができたが、そのメカニズムは両組織において未だ不明なことが多く残されている。今後、この作用メカニズムの解明をさらに進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究は概ね計画通りであったが、消耗品費が予定よりも少なく研究が進められたため、次年度使用が生じた。
ひき続き、本研究の継続のため、人件費や消耗品にあてる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] YAP/TAZ-TEAD is a novel transcriptional regulator of genes encoding steroidogenic enzymes in rat granulosa cells and KGN cells2023

    • 著者名/発表者名
      Mizutani Tetsuya、Orisaka Makoto、Kawabe Shinya、Morichika Ririko、Uesaka Miki、Yoshida Yoshio
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Endocrinology

      巻: 559 ページ: 111808

    • DOI

      10.1016/j.mce.2022.111808

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of YAP/TAZ-TEAD activity induces cytotrophoblast differentiation into syncytiotrophoblast in human trophoblast2022

    • 著者名/発表者名
      Mizutani Tetsuya、Orisaka Makoto、Miyazaki Yumiko、Morichika Ririko、Uesaka Miki、Miyamoto Kaoru、Yoshida Yoshio
    • 雑誌名

      Molecular Human Reproduction

      巻: 28 ページ: gaac032

    • DOI

      10.1093/molehr/gaac032

    • 査読あり
  • [学会発表] 絨毛細胞の分化制御因子YAP/TAZ-TEADの発現とその役割2022

    • 著者名/発表者名
      水谷 哲也,折坂 誠,宮崎 有美子,森近 梨里子,上坂 美紀,吉田 好雄
    • 学会等名
      第27回日本生殖内分泌学会学術集会
  • [学会発表] 絨毛細胞の分化プロセスにおけるHippoシグナル系の役割2022

    • 著者名/発表者名
      水谷 哲也,折坂 誠,宮崎 有美子,森近 梨里子,上坂 美紀,吉田 好雄
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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