研究実績の概要 |
子宮体がんの腫瘍局在別の抗腫瘍免疫応答に着目して研究を行った。 手術が施行された子宮体がん症例から、患者同意取得のもと検体採取を行った。①腫瘍浸潤リンパ球および末梢血単核細胞の回収、②腫瘍組織から病理組織標本の作製とDNAおよびRNAの回収を、腫瘍サイズによって子宮内腔側、筋層浸潤側と正常筋層の部位別に複数個所から検体採取した。 子宮体がん計29例の腫瘍から回収した腫瘍浸潤リンパ球および末梢血単核細胞(25例分)を用いて、FACS解析を行った。また、病理組織標本での免疫組織化学的検討(Foxp3およびCD8陽性細胞の腫瘍内局在別定量)を行った。 免疫組織化学的検討にて、CD8陽性T細胞の浸潤は、Inflamed type, Desert type, Excluded typeの3パターンに大別された。 FACS解析では、CD8陽性T細胞におけるPD-1発現は末梢血単核細胞に比して腫瘍浸潤リンパ球で有意に上昇していた。また、eTregにおけるPD-1およびCTLA-4の発現は、ともに末梢血単核細胞に比して腫瘍浸潤リンパ球で有意に上昇していた。CD8陽性T細胞のPD-1陽性率は、Desert typeよりもInflamed typeで有意に高く、Desert typeよりもExcluded typeで高かった。また、eTregにおけるCTLA-4陽性率は、Inflamed typeよりもExcluded typeで有意に高かった。 Excluded typeでCD8陽性細胞傷害性T細胞が腫瘍中心部に浸潤できないことには、Inflamed typeに比べてCTLA-4発現が高い免疫抑制能の強い制御性T細胞の存在が関係している可能性がある。
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