研究課題/領域番号 |
19K09781
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松原 圭一 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (80263937)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 絨毛外栄養膜細胞 / exosome / HMGA1 / western blotting / proteosome / 妊娠高血圧モデルマウス |
研究実績の概要 |
1)2% O2の低酸素環境でdeoxycholic acid(DCA:0.5mM)をHTR8/SV40neo(絨毛外栄養膜細胞:EVTs)に添加して24時間培養した結果,ELISAで上清中にHMGA1の統計学的優位な増加を認めた。しかし,その変化量はわずかであったことから上清からExoQuick-TC(System Biosciences, LLC, Palo Alto, CA)を用いてexosomeを採取した。低酸素刺激を加えて培養したEVTsから上清中に放出されるexosomeを抽出し,exosome内のHMGA1蛋白発現をwestern blottingによって評価したが検出することができなかった。そこで,DIA-proteosome assayを行ったところ,HMGA1蛋白の発現が統計学的優位に増加していた。しかし,HMG蛋白としてはHMGA1よりもHMGN1のほうが2倍以上増加しており今後検討すべきと思われた。 2)さらにDCAで刺激しEVTsを24時間刺激することによって EVTs由来exosomeにおけるHMGA1発現増加をwestern blottingによって確認できた。さらに,DIA-proteosome assayを行い,HMGA1発現の有意な増加を認めたが, それ以外に,Golgi membrane protein1,Nucleobindin-1,inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H2が重要なハブ蛋白として,Principal component分 析・Protein-protein interaction ネットワーク解析によって見つけることができた。 3)モデルマウスにおける採卵率が低く,研究においてn数を増やすことが難しくなってきたため,方法を修正することにした。今まで胚盤胞を妊娠マウスの子宮から採取してきたが,これが採卵率が低い原因となっていたため,2細胞胚の段階で卵管から採取し,体外で培養して胚盤胞まで成長させてから偽妊娠マウスの子宮内に移植することで採卵率を改善できる様にすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルマウスの調子が悪く,修正を加えるのに1年を要したため若干遅れている。また,新型コロナウイルス蔓延のため複数人数での研究が禁止され,さらに実験室の改修工事によって半年間培養系の実験が出来なくなったこともあり全体的な進捗は若干遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
1)HMGN1によるEVTsへの影響を検討する。そして,HMGA1との機能の違いについて比較検討する。HTR8/SV40neoにHMGN1を加え,proliferation・migrationを測定する。 2)MSC由来のexosomeは病態改善に役立つ可能性があるため,マウスの脂肪組織からMSCを採取し,そこから抽出したexosomeをモデルマウスの腹腔内に投与することによって血圧や蛋白尿といった病態を改善できるかどうか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延下において複数人数での研究活動が禁止され,進行が極端に遅れたことに加えて,実験室を含めた医局の改修工事が1年近くあり,実験を十分に進めることが出来なかった。
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