研究実績の概要 |
1) 臍帯血、胎児血を用いた胎児特異的microRNAの同定:母体血液細胞に比べ胎児/新生児の血液細胞で高い発現を示すmiRNAとして、15個のmiRNA(miR-370, miR-452, miR-485-5p, miR-432, miR-136, miR-136*, miR-433, miR-323-3p, miR-494, miR-409-3p, miR-431, miR-654-5p, miR-376a*, miR-370*, miR-377*)が同定された。さらにこれらのうち、miR-452を除く14個のmiRNAは14番染色体のmicroRNA clusterに存在していた。これらのmiRNAは胎盤でも高発現していたため、胎盤と比較して臍帯血で2倍以上の発現を示すものを解析したところ、hsa-miR-370, hsa-miR-409-3p, hsa-miR-654-5pが選択された。これら3つのmiRNAは、より胎児の状態を反映している可能性が示唆された。 2) 間葉系幹細胞の解析:絨毛膜板、絨毛および脱落膜より培養した間葉系幹細胞(MSC)における妊娠関連microRNAの発現パターンを解析したところ、miR-518bおよびmiR-517aは、胎児由来である絨毛膜板および絨毛由来MSCにおいて母体由来である脱落膜由来MSCに比較して有意に発現が高かった。また、絨毛由来MSCにおけるこれら2つのmiRNAの発現量は、妊娠時期による影響を受けず一定であった。さらにmiR-518bを絨毛由来MSCに導入し、miR-518bが調節する遺伝子を解析したところ、13個の候補遺伝子が同定され、それらは妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の病態形成との関連が報告されていた。 産前産後の休暇および育児休業のため、2021年8月1日~2022年10月31日の間補助事業を中断予定である。
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