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2020 年度 実施状況報告書

一絨毛膜双胎における胎児循環不全の病態解明についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K09788
研究機関東邦大学

研究代表者

中田 雅彦  東邦大学, 医学部, 教授 (10294646)

研究分担者 日根 幸太郎  東邦大学, 医学部, 助教 (50729308)
早田 英二郎  東邦大学, 医学部, 講師 (50804176)
與田 仁志  東邦大学, 医学部, 教授 (90589053)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード一絨毛膜双胎 / 双胎間輸血症候群 / 超音波パルスドプラ法 / Dual-gate Doppler method
研究実績の概要

一絨毛膜(MC)双胎では、双胎間輸血症候群(TTTS)や selective IUGR(sIUGR)において胎児期に循環不全を合併し,結果的に胎児期ならびに新生児期の予後が著しく不良となる.しかし,これらの定義を満たさない場合でも胎児期,新生児期において中枢神経障害等の合併症が存在することが大きな問題となっている.中枢神経障害の原因として,MC双胎特有の循環状態が関与すると考えられている.しかしながら,その詳細な発症機序は不明である。
本研究では、MC双胎特有の循環不全に着目し、羊水・臍帯血の心不全マーカーを測定し、新たに確立した胎児心機能評価法を用いて関連性を検討することを目的としている。加えて、胎盤における循環作動物質の組織学的発現の検討を行い、胎盤機能と児の循環状態について評価する。
2020年度は,TTTSやsIUGRの患者に対して,胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固を施行し,手術の際に採取した羊水を検体試料して蓄積および分析すること目的とした.その結果,研究期間中に約30例の羊水検体が得られた. また,同治療症例における循環不全の評価として,超音波パルスドプラ法を用いた胎児静脈管血流速度波形の計測を行い,同時に,超音波dual-gate Doppler法 による胎児心室のE/e'の計測を行った.
本研究では,胎盤組織における各種物質の機能発現を行うことを目的としており,施設において分娩に至った胎盤組織を保存している段階である. 今後は2019年度および2020年度に得られた試料ならびに計測データについて解析を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,一絨毛膜双胎における循環状態の評価と病的状態における羊水試料を用いた生化学的分析を目的としている.研究代表者の所属施設は,TTTSや sIUGRの治療拠点施設のため,我が国の約25%の患者の治療が可能である.そのため,当初の目的にかなう程度の患者数の確保が可能となっている. 本研究で用いられている超音波検査法は,先行研究においてその計測法の確立がなされ,さらに病的胎児における有用性の可能性がすでに示唆された方法である.そのため,初年度に引き続き本年度も研究は円滑に遂行できていると判断する. また,羊水検体の採取ならびに保存については,先行研究において整備された研究備品を用いた管理が可能となっていることが,研究がおおむね順調に進展して いる理由となっている.
課題としては,新型コロナウイルス感染症によって,学会出席などを通じた情報交換が円滑に行えてなかった点が挙げられる.

今後の研究の推進方策

本研究の目的は,一絨毛膜双胎における胎児循環不全の病態解明である.そのため,一絨毛膜双胎の羊水・臍帯血の心不全マーカーを測定し、新たに確立した胎 児心機能評価法を用いて関連性を検討すること,加えて超音波パルスドプラ法などの画像診断法によって得られたパラメーターの変化や心不全マーカーとの関連性を検討することを目的としている. 2019年度,2020年度は,TTTSやsIUGRなど病的な状態の患者に対して,羊水検体試料を採取・蓄積すること目的としたが,おおむね順調に遂行できた.また,同治療症例における循環不全の評価として,超音波パルスドプラ法を用いた胎児静脈管血流速度波形や超音波dual-gate Doppler法による胎児心室のE/e'の計測が可能であった. 今後,同様に検体試料の採取を継続し,同時に超音波計測によるデータの取得も継続することで,研究データの上積みを行う.今後は,これまでに胎児期の評価が可能であった患者の出生後の循環動態の変化についてのデータが今後得られることが期待されるためそれらのデータの蓄積を行い,順次解析を行う予定であ る.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に伴い,情報交換目的の国際学会出席が中止となったことでの旅費経費が余剰した.次年度は,これらの経費を比較的順調に経過している本研究のおける消耗品費などに充足し,最終年度として十分な研究成果を挙げることを目標とする.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Measurement of fetal automated fractional shortening using two-dimensional tracking in multiple centers2021

    • 著者名/発表者名
      Nagasaki Sumito、Nakata Masahiko、Takano Mayumi、Sakuma Junya、Nagai Ryuhei、Miyashita Susumu、Takahashi Yuichiro、Iwagaki Shigenori、Yamamoto Yuka、Morita Mineto
    • 雑誌名

      Journal of Medical Ultrasonics

      巻: 48 ページ: 83~90

    • DOI

      10.1007/s10396-020-01069-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prediction of Twin-to-Twin Transfusion Syndrome Using Characteristic Waveforms of Ductus Venosus in Recipient Twins2020

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Takano, Masahiko Nakata, Sumito Nagasaki, Junya Sakuma, Mineto Morita
    • 雑誌名

      Twin Research and Human Genetics

      巻: 23 ページ: 292-297

    • DOI

      10.1017/thg.2020.73

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 胎児疾患と胎児治療-病態生理,診断・治療のすべて2020

    • 著者名/発表者名
      中田雅彦(編著)
    • 総ページ数
      295
    • 出版者
      株式会社メディカ出版
    • ISBN
      978-4-8404-7262-3

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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