研究課題
本研究は、染色体数的異常胚の出現に影響する暴露要因を解明するために、廃棄する胚盤胞から生検した試料を網羅的染色体解析(PGT-A)して 正倍数体胚、染色体数的異常胚、モザイク胚の出現率を算出し、様々な要因(卵巣刺激方法、 採卵方法、生検方法、治療歴、臨床的背景など)との因果関係を調査している。2019年度は、共同研究施設の拡大、暴露要因の洗い出し、研究対象者のリクルート、解析環境の整備(データ解析環境構築、PGT-A解析プラットフォームの比較など)を中心に行った。その結果、PGT解析について、検体輸送における品質の確保や全ゲノム増幅した検体の合格基準、検査過誤を防ぐ管理試料の設定といった精度管理体制を構築し、微細な染色体コピー数変化の検出やモザイク数的異常の判定基準を確立した。さらに、一部の共同研究施設とは小規模で染色体数的異常胚と暴露要因の解析を進め、卵巣刺激法によって染色体数的異常がモザイクで認められる胚の出現率が優位に異なる可能性、少ない精子濃度と低い運動率が正倍数胚の数を減少させる要因である可能性、裸化やICSIを行う際の手法を見直すことによってモザイク異数胚率を減少できる可能性が示唆された。本年度は、引き続き、多施設共同研究の立ち上げ、研究対象者のリクルート、PGT-A解析を進める。また、小規模の解析から染色体数的異常胚の出現に影響する事が示唆された暴露要因について、より大規模な多施設共同の症例対照研究を行うことで検証する予定である。
3: やや遅れている
解析環境の整備はほぼ完了し、一部の共同研究施設とは個別の解析が進んでいる。しかし、多施設共同研究を立ち上げるのに時間を要しており、大規模な解析や研究対象者のリクルートが進んでいないため、やや進捗が遅れている。
本年度も引き続き、多施設共同研究の立ち上げ、研究対象者のリクルート、PGT-A解析を進める。また、小規模の解析から染色体数的異常胚の出現に影響する事が示唆された暴露要因について、より大規模な多施設で集計して検証する予定である。
当初の計画で見込んだよりも研究対象者のリクルートに遅れが生じ、PGT-A解析用試薬などの消耗品の使用が少なかったため、使用額が生じた。次年度使用額は2020年度請求額とあわせて,主に物品費として使用する予定である。
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巻: - ページ: -
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