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2020 年度 実施状況報告書

子宮内膜細胞診用液状検体の遺伝子検査を用いた漿液性腺癌検診の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K09795
研究機関秋田大学

研究代表者

佐藤 敏治  秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (70636183)

研究分担者 佐藤 直樹  秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (40447199) [辞退]
清水 大  秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (60400503)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード漿液性癌 / 細胞診液状検体 / TP53変異 / 次世代シーケンサー
研究実績の概要

本研究の目的は、①TP53の遺伝子変異検出の単独で漿液性腺癌を診断することでコストを低減②子宮内膜細胞診液状検体を使用することで、漿液性腺癌診断の感度・特異度を改善③マイクロRNA検査で遊離DNA検出不能検体や前癌病変を予測できるかを明らかにすることである。癌だけでなく前癌病変をも診断し、単一の遺伝子検査(TP53変異)のみで診断でき、検査のための新たな装置や侵襲を必要としないことが本研究の独自性である。
本年度は、①細胞診用液状検体の採取・保存の追加と②細胞診用液状検体からの遊離DNAの抽出・PCRによる増幅・サンガーシーケンスによるTP53遺伝子変異の検出のパイロットスタディを行った。
①本年度は漿液性癌症例が2例と少なく、キットの検体数に満たないため凍結保存とし次年度での検査予定とした。②本年度の1例は子宮体癌・卵巣癌の重複癌であり、TP53変異のポジティブコントロールとして使用できるか検討してみた。摘出した子宮から速やかに内膜細胞診を施行し、採取した液状細胞診検体からのDNA抽出を行った。QIAamp DNA Micro Kitにて300ng/μlのDNA収量を得た。TP53遺伝子変異のターゲットシーケンス用の16か所のプライマー(Forshewら. Sci Transl Med. 2012)を行い通常のPCRを施行した。25 cycleにて1か所のプライマーを除き、PCR産物が確認され、サンガーシーケンスを行った。結果、1か所の病的バリアント(rs483352695)、1か所の良性欠失(rs587782769)、2か所のイントロンバリアント(rs1642785, rs59758982)をみとめた。
細胞診液状検体の溶媒であるTACAS GYN Vialに融解したDNAが、本実験系で抽出・PCR可能であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年は、漿液性腺癌の手術検体の採取を行ったが、2例しか集まらなかった。1例は子宮体癌・卵巣癌の重複癌であり、TP53変異のポジティブコントロールとして使用できるか、検討してみた。
摘出した子宮から速やかに内膜細胞診を施行し、採取した液状細胞診検体からのDNA抽出を行った。-80℃に凍結していた液状細胞診検体を融解し、15,000rpmで5分間遠心して上清を分注。沈殿物をlysis bufferにて溶解しQIAamp DNA Micro KitのDNAカラムに吸着。その後、分注していた上清もカラムに吸着させ100μlでDNAを抽出。Nano DropにてDNA濃度測定し、300ng/μlの収量を得た。TP53遺伝子変異のターゲットシーケンス用の16か所のプライマー(Forshewら. Sci Transl Med. 2012)を行い通常のPCRを施行した。25 cycleにて1か所を除き、PCRプロダクトを泳動にて確認し、ゲル切り出し抽出しサンガーシーケンスを行った。結果、1か所の病的バリアント(rs483352695)、1か所の良性欠失(rs587782769)、2か所のイントロンバリアント(rs1642785, rs59758982)をみとめた。
細胞診液状検体の溶媒であるTACAS GYN Vialに融解したDNAが、本実験系で抽出・PCR可能であることがわかった。

今後の研究の推進方策

8例程度でパイロットスタディを行い、検体採取時期・採取法・シーケンスの冗長度の最適化をする。検出可能と判断された場合、分子バーコードとsingle primer extensionを組み合わせたカスタムパネルを用いたNGS変異解析(QIAseq Targeted Panels)を行う。これにより、パイロットスタディのプライマーで検出できない200bp以下のDNA断片も検出が理論的に可能となる。より検出感度と正確性の向上させたデータを基に、漿液性腺癌のcf-DNAのTP53変異検出による漿液性腺癌の感度・特異度を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ流行のため、学会出張がなかったこと、予定検体が集まっていないため次世代シーケンサーをまだ施行していないため予算を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 遺伝性乳癌卵巣癌に対する当院での診療体制構築と展望.2020

    • 著者名/発表者名
      菅原多恵、佐藤直樹、有明千賀、三浦康子、牧野健一、佐藤敏治、清水大、寺田幸弘
    • 雑誌名

      秋田県産科婦人科学会誌

      巻: 25 ページ: 11-15

    • 査読あり
  • [学会発表] 孤立性に存在し、腸間膜・腹膜と広汎に癒着を認めたextra ovarian endometoriomaの1例2020

    • 著者名/発表者名
      白澤弘光,熊澤由紀代,佐藤亘,富樫嘉津恵,尾野夏紀,久木元詩央香,清水大,佐藤敏治,三浦康子,菅原多恵,佐藤直樹,寺田幸弘
    • 学会等名
      第41回日本エンドメトリオーシス学会
  • [学会発表] 認知の遅れたリンチ症候群関連子宮体癌の一例2020

    • 著者名/発表者名
      1)菅原多恵,佐藤直樹,金子恵菜実,牧野健一,佐藤敏治,清水大,寺田幸弘
    • 学会等名
      第23回東北家族性腫瘍研究会
  • [学会発表] オラパリブ療法中に汎血球減少と肺真菌症が発生した再発卵巣癌の2例.2020

    • 著者名/発表者名
      小野有紀,佐藤直樹,菅原多恵,三浦康子,牧野健一,佐藤敏治,清水大,寺田幸弘
    • 学会等名
      第72回日本産科婦人科学会学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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