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2019 年度 実施状況報告書

卵巣癌における腹水中の微量銅元素増加の意義解明と新規銅制御治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K09798
研究機関福井大学

研究代表者

大沼 利通  福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (70620483)

研究分担者 吉田 好雄  福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (60220688)
黒川 哲司  福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60334835)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード卵巣癌 / VEGF / 銅
研究実績の概要

卵巣癌患者の血清中のCuとVEGF値には有意な相関を認めた(相関係数0.541、p value= 0.030)。さらに卵巣癌患者の腹水中のCuとVEGFにも有意な相関を認めた(相関係数0.427、p value=0.026)。腹水中のVEGFは血清と比較して高値であった。
卵巣癌細胞株OVCAR3細胞を使用して、CuとVEGF産生に関連があるかを検討した。CuはOVCAR3細胞において、VEGFのmRNA発現を有意に増加させた。細胞のVEGF蛋白発現についてウエスタンブロッティングで検討したが、Cuは細胞内のVEGF発現は増加させなかった。しかし、OVCAR3細胞上清のVEGF発現をELISAで検討したところ、CuはVEGF発現を有意に増加させた。またこれらのVEGF発現増加は、Cuキレート剤であるテトラエチレンペンタミン(TEPA)により抑制された。腹水の産生には腹膜中皮細胞も関連しており、不死化中皮細胞であるMET5A細胞を用いて同様に検討を行った。その結果はOVCAR3同様であった。しかしながらMET5A細胞においては、Cuに長時間反応させた場合には、VEGFの発現増加は認められなかった。
CuによるVEGF発現増加に関連したパスウェイを検討するため、マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイにはClariom Sを用いた。その結果、卵巣癌細胞OVCAR3と中皮細胞MET5A細胞はCuの添加により、MAPK pathway、HIF-1α pathway、ERBB pathwayの活性化が共通して認められた。現在卵巣癌組織におけるVEGF発現を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

臨床検体を用いて、CuよVEGFの相関を示すことができた。さらに細胞レベルの実験においても、CuとVEGF発現の関連を示すことができた。また卵巣癌細胞と中皮細胞において、Cuにより活性化されるpathwayを示すことができた。

今後の研究の推進方策

OVCAR3細胞は漿液性癌である。そこで現在類内膜癌であるA2780での実験を行なっている。また他の組織型でも同様の検討を行うことを考慮中である。さらに実際に臨床で用いられている銅キレート剤であるD-ペニシラミンや塩酸トリエンチン使用してVEGF発現が低下するか検討する。マイクロアレイで活性化が認められた、MAPK pathwayやHIF-1αに関連したpathwayについては、阻害剤を用いた検討を行う。阻害剤を用いることで、VEGF発現が低下するかどうかを確認する予定である。

次年度使用額が生じた理由

分子生物学実験に使用する試薬を購入する際に差額が生じたために次年度使用額が生じた。翌年度には分子生物学実験の試薬購入に使用する

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 腹水中Mg, Fe, Cuと卵巣癌との関連についての検討2019

    • 著者名/発表者名
      大沼利通 山本真 津吉秀昭 品川明子  知野陽子 黒川哲司 吉田好雄
    • 学会等名
      第61回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] 腹水中Mg, Fe, Cuと卵巣癌との関連についての検討2019

    • 著者名/発表者名
      大沼利通 山本真 津吉秀昭 品川明子  知野陽子 黒川哲司 吉田好雄
    • 学会等名
      第37回日本ヒト細胞学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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