研究実績の概要 |
卵巣癌と中皮細胞のいずれも腹水産生に関連することから、卵巣癌細胞としてOVCAR3とA2780細胞を、中皮細胞としてMet-5A細胞を用いて、Cuによる発現変動遺伝子を検討するため、マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイにより同定された発現増加遺伝子 (A2780 634, OVCAR3 1110 and Met5A 580 genes)についてPANTHERでpathway解析を行った。 Angiogenesis (P00005)、p53 pathway (P00059)、oxidative stress response (P00046)が全ての細胞株で同定された。さらにGO-Slim Biological Processes解析を行った。その結果、responses to cadmium ion (GO:0046686)、cellular zinc ion homeostasis (GO:0006882)、cellular transition metal ion homeostasis (GO:0046916) が全ての細胞株に共通していた。さらに全ての細胞株でangiogenesisに関連したbiological processが同定された。(Met-5A; positive regulation of angiogenesis GO:0045766. OVCAR3及びA2780; regulation of angiogenesis GO:0045765)。以上の研究成果は、卵巣癌の腹水で増加するCuは、中皮細胞も含めて血管新生に関与していることを示唆している。銅キレート療法は卵巣癌における新たな治療の選択肢となる可能性がある。
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