研究課題/領域番号 |
19K09799
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
磯村 直美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (80647595)
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研究分担者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 副学長 (70204550) [辞退]
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70263085)
田村 直顕 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90402370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 羊水塞栓症 / 臓器特異的アナフィラクトイド反応 / 消費性凝固障害 / 線溶亢進 / ヘモグロビン/フィブリノゲン比 |
研究実績の概要 |
1) 羊水塞栓症の血液、子宮・肺組織の解析検体数 全国から送られた羊水塞栓症の臨床情報、血清・血漿、子宮・肺組織の解析を行っている。血液は症例数161例(216検体)、うち母体死亡6例であった。組織検体は30例であり、これにはこれまで病理解剖された心肺虚脱型羊水塞栓症13例の全身主要臓器も含まれる。 2) 心肺虚脱型羊水塞栓症の全身主要臓器標本を使用した臓器特異的アナフィラクトイド反応の病態解析 心肺虚脱型羊水塞栓症と診断された13例、コントロールとして妊産婦肺血栓塞栓症3例の病理解剖組織検体(肺、心筋、子宮、肝、腎、副腎)を用いて、予備的検討として従来当科で行っているHE、アルシアンブルー、亜鉛コプロポルフィリン-1、サイトケラチン、C5a受容体染色に加えて、トリプターゼ、c-kit染色を行った。肺と子宮のみに有意な肥満細胞脱顆粒所見を認めており、今後これらの症例をまとめてさらに検討していく予定である。 3) DICに関する検討 羊水塞栓症発症早期の血液凝固線溶検査値から、羊水塞栓症で消費性凝固障害と線溶亢進が認められた。これを早期に検出するための簡便な臨床的指標としてヘモグロビン/フィブリノゲン(H/F)比が有用であることを学会ならびに学術論文で発表した。 産科DICをきたすもうひとつの産科疾患として常位胎盤早期剥離(早剥)が知られている。同じDIC診断基準(Erez基準)でDICを合併していると診断された早剥と臨床的羊水塞栓症の凝固(プロトロンビンフラグメント1+2)・線溶マーカー(PIC)を比較すると、早剥では凝固亢進に応じて線溶亢進していたが、臨床的羊水塞栓症群では凝固亢進がそれほど強くないが線溶亢進が著しい症例を認めた。この病態の詳細について今後検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血清補助診断事業を進めながら、組織染色・DICに関する検討を並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
血清補助診断事業とDICの検討を続け、アナフィラクトイド反応とDICとの関連を調査する。臓器特異的アナフィラクトイド反応の検討を継続し、アドレナリン投与による肥満細胞脱顆粒の抑制が有効となる可能性のある臓器を同定し、その投与経路について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体数が予定より少なかったため、学会現地開催が中止となったため、次年度へ繰り越すこととなった。
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