研究課題
1) 羊水塞栓症の血液、子宮・肺組織の解析検体数:全国から送られた羊水塞栓症の臨床情報、血清・血漿、子宮・肺組織の解析を行っている。血液は症例数147例(182検体)、うち妊産婦死亡9例であった。組織検体は11例であった。臨床情報とあわせた血液検体の研究として、心停止後救命例24例と死亡例26例を比較すると血清トリプターゼ値が死亡例の方が有意に高値であった。肥満細胞活性化が病態に関わることを示唆していると考えられた。2) 心肺虚脱型羊水塞栓症の全身主要臓器標本を使用した臓器特異的アナフィラクトイド反応の病態解析:心肺虚脱型羊水塞栓症と診断された13例、コントロールとして妊産婦肺血栓塞栓症3例+若年女性死亡例(原因はさまざま)の病理解剖組織検体(肺、心筋、子宮、肝、腎、副腎)を用いて、C5a受容体、トリプターゼ、c-kit染色を行った。肺、心筋、子宮に有意な肥満細胞脱顆粒所見を認めており、現在詳細な解析を行っている。3) 血液凝固障害に関する検討:血液検体を使用して常位胎盤早期剥離と羊水塞栓症の血液凝固障害のプロファイルを検討した。羊水塞栓症では凝固亢進の程度に比べて線溶亢進が著しい症例があり、両者に相関が認められなかった。この原因の検索の結果、羊水塞栓症ではtissue-type plasminogen activator (tPA)の有意な上昇とthrombin-activatable fibrinolysis inhibitor (TAFI)の有意に低下していたことが判明した。この変化が羊水塞栓症における線溶亢進の病態に関与していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)
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