研究課題/領域番号 |
19K09804
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢幡 秀昭 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30404065)
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研究分担者 |
片山 佳樹 九州大学, 工学研究院, 教授 (70284528)
森 健 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70335785)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | センチネルリンパ節 / 新規トレーサー |
研究実績の概要 |
センチネルリンパ節とは腫瘍から最初にリンパ流が到達するリンパ節であり、乳癌や悪性黒色腫では既に保険収載されており、臨床応用されている。しかし、子宮癌においてセンチネルリンパ節生検はいまだに保険収載されていない。我々は子宮頸癌いおいてRI法を用いてセンチネルリンパ節の同定率、陰性的中率を報告し、臨床応用可能であることを報告した(Int J Clin Oncol, 2010)。また、術中の病理診断でセンチネルリンパ節が転移陰性であれば、リンパ節郭清を省略するセンチネルノードナビゲーション手術ではリンパ節郭清群と比較し、予後に差がないこと、リンパ浮腫などの合併症は有意に軽減できることを報告した(Int J Clin Oncol, 2010)。このようにRI法は感度が高いもののRI施設が必須であり、検査施設は限られてくる。また、鏡視下手術の普及によりICG法が広く用いられているが、RI法に用いられるフィチン酸テクネシウムに比較して分子量が低く、早期にSLNを超えてしまい、術中に適切なSLNを同定できない可能性がある。そのため、我々は滞留時間の長いtracerの開発を行うこととした。ICG-phytate、またLiposomeとICG, phytateのコロイド粒子を用いてSLN同定法の有効性、安全性について検討した。ICG-phytate-liposome mixtureを作成し、ICGはliposome内に担持され、リンパ節に長期滞留し、liposomeはサイズが大きく、リンパ節に滞留しやすいことが確認できた。この新規トレーサーのヒトへの応用を最終的な目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規トレーサーにおけるSLN同定法の有効性、安全性について検討した。phytate/Ca2+のgel networkとliposomeのリン脂質によりgelが固定され、ICGがリンパ節に長期間滞留することも確認できた。また、Phytateの添加で粒径が拡大し、Ca2+の添加でphytateゲルが収縮し、より強固になることも確認できた。マウスを用いて鼠径皮下リンパ節に直接投与して問題ないことも確認できた。また、ICGの濃度を50ug/mlx10uL, 500ug/mlx10uL, 5000ug/mlx10uLの3種類においてマウスを用いて検討し、蛍光法で確認する50ug/mlx10uLが指摘濃度であることも確認できた。phytate/Ca2+のgel networkとliposomeのリン脂質によりgelが固定され、ICGがリンパ節に長期間滞留することも確認できた。また、Phytateの添加で粒径が拡大し、Ca2+の添加でphytateゲルが収縮し、より強固になることも確認できた。マウスの右鼠径部に20μlずつ新規トレーサーを投与後に開腹して鼠径、腋窩リンパ節を摘出し、1時間、3時間、6h時間、24時間後にICGの蛍光強度を測定し、新規とレーザーでは長時間滞留することを確認した。また、摘出リンパ節を蛍光顕微鏡で確認し、リンパ節組織にICGが存在していることも確認した。動物実験ラボにおいてブタ2頭に対して、子宮頸部に直接新規とレーザーを投与し、腹腔鏡を用いて投与直後、1時間、2時間、3時間と腹腔内を観察し、リンパ節にICGが流入することも確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
マウスにおける実験は正常マウスを用いており、子宮頸癌モデルマウスでも再現性が可能かの追加実験を行う予定である。また、ブタを用いて子宮頸部からの新規トレーサーがセンチネルリンパ節に長時間滞留するかの確認も追加実験で検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により学会の出張費が大幅に削減となってしまった。また、動物ラボは神戸で行っているが、これもコロナの影響で開始が遅れてしまい、実験で使用する予算が十分に活用できなかった。しかし、来年度はブタによる動物実験も開始されており、繰り越し分は来年度に使用予定である。
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