研究課題/領域番号 |
19K09809
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
長安 実加 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80623496)
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研究分担者 |
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236) [辞退]
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
小川 憲二 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60623494)
河原 直紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70623495)
山中 彰一郎 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (30866009)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卵巣明細胞癌 / Cyclin-E1(CCNE1) / ARID1A遺伝子変異 / 合成致死 |
研究実績の概要 |
ARID1A変異の合成致死候補を同定するためにsiRNAスクリーニングを行った結果、細胞生存率に影響を与えるターゲットとしてCyclin-E1(CCNE1)が同定された。CCNE1の影響をさらに明らかにするため、卵巣明細胞癌株、すなわちTOV-21G とKOC7c(ARID1A 変異株)、および RMG-IとES2(ARID1A 野生型株)にCCNE1 またはコントロールベクターを標的とする siRNA をトランスフェクションした。CCNE1の干渉は、ARID1A遺伝子変異を有するTOV-21GおよびKOC7c細胞の増殖を抑制したが、ARID1A野生株であるRMG-IおよびES2細胞の増殖は抑制しなかった。細胞周期解析において、TOV-21Gに対してCCNE1を干渉すると有意差は認められないもののsub-G1期の増加とS期の低下傾向を認めた。トランスフェクション48時間後のアポトーシスアッセイにおいてはコントロールと比較して早期および後期のアポトーシスが増加していた(28.2±3.7 vs. 34.6±1.1, p=0.045)。さらに、異種移植マウスモデルにおいて、CCNE1のin vivo干渉は、腫瘍細胞の増殖を効果的に抑制した(452.8±274.6 vs. 789.9±129.0, p=0.013)。本研究により、CCNE1がARID1A変異を有する卵巣明細胞癌株に対する合成致死標的遺伝子であることが初めて示された。この遺伝子を標的とすることは、卵巣明細胞癌治療における新規の抗がん戦略として期待される。
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