研究課題/領域番号 |
19K09810
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 寛正 自治医科大学, 医学部, 講師 (90406116)
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研究分担者 |
大口 昭英 自治医科大学, 医学部, 教授 (10306136)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エクソソーム / 妊娠高血圧症候群 / 精製方法 / 正常妊婦 |
研究実績の概要 |
まず、3種類のエクソソーム精製キットを用いて、エクソソームの分離精製を行った。 妊娠中期(20~24週)の正常妊婦各15例の血漿保存試料で、カラム法(A. 血漿/血清用エクソソーム精製キット、Norgen Bootek Corp.、B. エクソソーム単離キット EXP-Prep、HansaBio社、C. exoEasy Maxi Kit、QIAGEN社)を用いて、エクソソームの分離精製を行った。なお新たに市販されたD. ExoQuick ULTRA,SBI社のキットも用いて、精製を行い,最終的に4種類のキットを用いた。 総エクソソームの確認、定量化として、精製した総エクソソームをnano tracking analysisのMalvern CompanyのNanoSightを用いて総エクソソームの粒子サイズならびに粒子数を測定した。キットにより精製される粒子サイズの幅があり精度に差があるものの、100nm前後の粒子が一番多く精製されていることを確認した。A. 血漿/血清用エクソソーム精製キットが粒子サイズの幅が一番小さかった。次にCD63 ELISAキットを用いて総エクソソーム濃度を測定した。D. ExoQuick ULTRAが一番エクソソームの濃度が高かったが、他のキット(A,B,Cのキット)に比べ約10倍濃度が高く、その精度について最もD. ExoQuick ULTRAが優れていると言い難いため、他の方法でその制度について確認する必要があると考えた。このため、精製のスタンダードてある超遠心法と比較し、最もこのデータに近いキットを選択すべきであり、現在超遠心方法について技術を取得中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
精製キットの選出ができていないことが一番の研究が遅れている理由である。具体的には、D. ExoQuick ULTRAが一番エクソソームの濃度が高かったが、他のキット(A,B,Cのキット)に比べ約10倍濃度が高く差が大きいため、その精製精度について優れていると言い難い。このため他の方法で確認する必要があると考えた。精製のスタンダードてある超遠心法と比較し、最もこのデータに近いキットを選択することが必要と考えた。現在超遠心方法について技術を取得中であり、その分進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
超遠心法によるエクソソーム精製法を取得した後、これによる濃度測定する予定である。上記のキットでの精製されたエクソソームを比較し、最も超遠心法に近いキットを選出する予定である。 その後、妊娠初期、中期、後期前半、後期後半の正常妊婦各10例の保存試料を用いて、選出したキットで精製し、総エクソソームをCD63 ELISAキットを用いて総エクソソーム濃度を測定する。また胎盤アルカリホスファターゼELISAキットを用いて胎盤由来エクソソーム濃度を定量化し、正常妊婦の血漿を測定し、総エクソソーム、胎盤由来エクソソームが妊娠初期から後期にかけて増加するかどうかを確認する。また、週数別の総エクソソーム及び胎盤由来エクソソーム濃度の基準値を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
精製キットの選出ができなかったことで、週数別の総エクソソーム及び胎盤由来エクソソーム濃度の基準値を作成することができなかった。このため、CD63 ELISAキット、胎盤アルカリホスファターゼELISAキットの購入をしなかった。さらに妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧症例の総エクソソーム及び胎盤由来エクソソーム濃度を測定する精製キットとELISAキットを購入しておらず、次年度使用額が生じた。今後、超遠心法による精製エクソソームと比較し、生成キットを選出し、週数別の総エクソソーム及び胎盤由来エクソソーム濃度の基準値を作成し、さらに妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧症例の総エクソソーム及び胎盤由来エクソソーム濃度を測定し、正常妊婦の濃度と比較検討する予定である。
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