超遠心法によりエクソソームを精製し、総エクソソームの量の測定系を確立し、カラム法による精製から得られる総エクソソームの量に違うかを検討することにした。 エクソソーム精製方法のスタンダードてある超遠心法で血漿保存試料から総エクソソームを精製し、エクソソームの特異的抗原であるCD63のELISA法を用いて総エクソソーム濃度を測定したが、感度以下で測定ができなかった。精製されたエクソソームの量が少ないためと考え、各血漿保存試料の量を増やしたり、タンパク質抽出溶液を変更したりなどして再検討した。 その結果、CD63はそもそもヒトの血漿保存試料内の総エクソソームは低発現であり、CD63のELISA法では、安定して測定ができないことがわかった。一方エクソソームの別の特異抗原であるCD9が他の特異的抗原と比べても高発現であることが判明したため、CD9のELISA法で測定したところ、測定感度以上であり、総エクソームの測定ができることが判明した。このため、現在CD9のELISA法を用いて、血漿保存試料の正常妊婦の妊娠週数別の総エクソソームの正常値(曲線)を作成するとともに、妊娠高血圧腎症妊婦の発症後の総エクソソームの量が異なるのか現在検討を行っている。 また別に市販の3種類のエクソソーム精製キット(カラム法)を用いて、正常妊婦と妊娠高血圧症候群妊婦の血漿保存試料から総エクソソームの分離精製を行い、同様にCD9のELISA法で総エクソソーム濃度を測定している。超遠心法と市販のカラム法での総エクソソームの量との間に、違いがあるのか、最も超遠心法と相関のあるカラム法はどれかを検討中である。
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