研究課題/領域番号 |
19K09818
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三田村 卓 北海道大学, 大学病院, 助教 (90625641)
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研究分担者 |
渡利 英道 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10344508)
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10399834)
天野 虎次 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20374514)
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (30589924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 血管新生阻害療法 / VEGF / 薬剤耐性 / CCR2 / PDX |
研究実績の概要 |
[ 動物実験 ] 2019年度に初回治療実験を行った卵巣漿液性癌では、Bevacizumab(BEV) (10 mg/kg)単剤治療群(n=8)、CCR2阻害薬 BMS CCR2 22 (20 mg/kg)単剤治療群(n=8)、コントロール群(n=8)と比較して、BEV(10mg/kg)とBMS CCR2 22 (20 mg/kg)との併用療法群(n=8)で治療効果が有意に改善された。 このBEVとBMS CCR2 22との相乗効果を追試するため、卵巣明細胞癌1名と卵巣類内膜癌患者1名より摘出した腫瘍をNOGマウスの腹部皮下へ移植して治療実験を行った。明細胞癌モデルでは、BEV (10 mg/kg)単剤治療群(n=5)とBEV (10mg/kg)とBMS CCR2 22(20 mg/kg)との併用療法群(n=5)の2群を設けて治療効果を検討した。5サイクル目終了時点で2群間で治療効果に差を認めなかったが、BMS CCR2 22を40 mg/kgに増量して3サイクル追加治療を行ったところ、併用群で腫瘍の増殖が有意に抑制された。また摘出腫瘍を用いた免疫染色実験により、本腫瘍は血管新生への依存度が低かったことと、併用群では腫瘍細胞自体のCCR2発現が大幅に低下していたことがわかり、血管新生低依存性腫瘍ではBMS CCR2 22の腫瘍細胞CCR2に対する直接効果が存在する可能性が新たに示唆された。類内膜癌モデルも同じプロトコールで治療実験を行なったが、有害事象が強く実験を中止した。
[ヒト遺伝子解析研究] 2019年に引き続き患者血液検体の採取を継続している。現時点までに得られたNGS解析結果の一部を遺伝性卵巣癌患者の臨床病理学的特徴に関する多施設共同研究に応用し、BRCA1/2関連遺伝性卵巣癌における病変発生部位および転移部位と遺伝子学的特徴との相関に関する論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに3名の患者方摘出した腫瘍を用いて追加の動物実験を開始しており、予定通りに進めば次年度内に計画当初に目標としていた情報を概ね収集できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の大きな変更はない。 患者腫瘍の採取に関して、未治療の患者から採取した腫瘍組織は黄治療の患者からの腫瘍組織と比較してマウスへの生着率が高い傾向があることがわかり、未治療の患者からの検体採取を優先的に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展により動物実験に使用するマウスの飼育費用や論文投稿費用が追加で必要であったため。
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