研究課題/領域番号 |
19K09820
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
白澤 弘光 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (60598019)
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研究分担者 |
熊澤 由紀代 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (70400504)
佐藤 亘 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (10726441)
高橋 和政 秋田大学, 医学部附属病院, 技術系スタッフ (60791910)
安西 実武貴 秋田大学, 医学部, 技術系補佐員 (70770444) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 体外成熟培養 / タイムラプス / 妊孕性温存 / in vitro maturation / ヒト胚 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に施行した子宮体癌症例の摘出卵巣より回収した未成熟卵子に対するタイムラプス観察下の体外成熟培養(in vitro maturation, IVM)後の単為発生刺激成績と、実臨床における妊孕性温存目的の摘出卵巣から得たヒト未成熟卵子のIVM施行時のタイムラプスにより得られた動的評価の比較検討を行った。また、子宮体癌症例おいて施行したIVMから単為発生刺激までのタイムラグと、妊孕性温存時の実臨床におけるIVMから成熟卵子凍結および顕微授精(ICSI)施行までのタイムラグおよびその後の成績についての比較検討を施行した。 非刺激下摘出卵巣由来の未成熟卵子に対するIVMの成熟率(第1極体放出率)が55.2%であることは2020年にF&S Scienceに研究代表者の白澤が報告しているが、本年度は6症例の妊孕性温存を目的とした卵巣凍結施行時の摘出卵巣由来未成熟卵子に対するIVM成績と比較した。同成績は14個の未成熟卵子に対しIVMを施行し、71.4%が成熟しており、2020年の報告時より成熟率が高率であった。また第1極体放出のタイミングは2019年度の検討では24時間以内、24時間以降の2群で検討し、24時間以内の放出率が53.1%であったが、今回は全IVM過程をタイムラプスにて観察し、26.9±14.2時間(range, 4.7-56.0時間)であった。また実臨床では次手技まで夜間などの極体放出時などの影響で9.2±4.9時間(2.0-16.0時間)のタイムラグが生じる事を示した。 上記報告は2021年にボルチモアで開催されたアメリカ生殖医学会にてweb発表を研究代表者の白澤が行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト胚に対するタイムラプスを用いた体外成熟培養(in vitro maturaion)過程の動的解析の報告は少なく、2021年のアメリカ生殖医学会における報告など、最新の知見を国際学会で積極的に発表を行っている。一方で、タイムラプスを用いての挙動解析においては蛍光マーカーによるリアルタイムでの挙動解析も重要であるが、動的解析のハード面、ソフト面でのシステム設定に時間を要している。未成熟卵子からIVMを経ての成熟卵および単為発生を経てのヒト単為発生由来胚盤胞作成および凍結・融解のステップは構築されており、今後も検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる2022年度は蛍光マーカーを用いたリアルタイムでの染色体分離プロセスを含めた挙動解析を中心に行い、国際学会、国内学会において得られた知見の報告を進めていく。 新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見えず、研究機関における手術件数の低下に伴うマテリアル確保が懸念されるが、ヒト胚シミュレーションとなるマウス卵を含めた比較検討も同時に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症に伴う手術件数の減少による摘出卵巣からのマテリアル供給制限もあり、研究の進捗に影響を受けた。今後マテリアルであるヒト未成熟卵子および代替マテリアルであるマウス卵などを用いて蛍光イメージングに必要な培養機材、免疫染色抗体、解析に要する費用、学術集会における知見周知、論文化に対する費用として使用を計画している
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