研究課題/領域番号 |
19K09824
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡田 宗正 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (70380003)
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研究分担者 |
伊東 克能 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00274168)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 羊水塞栓症 / 妊娠中毒症 / 呼吸困難 / CT / dual energy CT / 肺血栓塞栓症 |
研究実績の概要 |
2009年3月から2018年8月4日までに、18歳から46歳までの女性で呼吸困難を来し、dual energy CTにて検査された94例に対して、ヨード分布量に差があるかを検討し、2019年JRS総会(横浜)で発表した。本検討では、妊娠関連の有無、肺血栓塞栓の有無などで3郡(肺血栓塞栓症群、肺血栓塞栓症のない妊娠関連郡、非妊娠および非肺血栓塞栓症群)で検討すると、肺血栓塞栓症群では、肺還流量(lung perfused blood volume:LPBV)の低下が最も大きく、肺血栓塞栓症のない妊娠関連郡ではLPBVが軽度低下していた。また、妊娠と関係がなく、肺血栓塞栓症の認められない群と比較しても妊娠関連郡はLPBVが有意に低下していた。このことから、妊婦や産後では通常CTでは塞栓子として認められない何らかの肺還流を低下させる病態が疑われた。この病態をヨード分布域の低下としてとらえ、用水塞栓の初期像として検討している。しかし、本検討では、臨床的に致死的な羊水塞栓症との診断に至った症例はないが、肺血栓塞栓症のない妊娠関連郡で、臨床的重症度から羊水塞栓に特徴的ヨード分布不均一が認められる症例がないか検討している。また、対象期間を2020年3月31日にまで延長し、新たな症例を蓄積している。 新たな検討項目として、採血データ(プロトロンビン時間、フィブリノーゲン、血小板数)を取得中である。 dual energy CTに関しては、Medical View社より出版された、「dual energy CT 原理を理解し臨床で活用する」の臨床編 2. 胸部 2)肺血流・肺塞栓(99-107)を担当し、LPBVの原理を再考するとともに、LPBVの最適な閾値の再設定のために用水塞栓が疑われる症例の還流欠損パターンと合わせた検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2009年3月から2018年8月4日までの94例に対して、研究発表を行ってきたが、現在症例を増やし、新たに検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
dual energy CTより得られたiodine map画像を、①従来と同様に定量評価すると共に、②肺血栓塞栓症で認められなかった還流低下patternを羊水塞栓症の初期像とした場合の、陽性的中率や正確度などを検討し、dual energy CTを用いた妊婦の呼吸困難時の診断補助ツールの作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州放射線研究会(ECR2020)にて、肺のdual energy CTについてSiemens社と会談予定であったが、COVID-19の影響で、ECR2020が中止となったため。 この未使用額は、Web会議対策費のために2020年度にコンピュータ購入費に充てる予定である。
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