研究課題/領域番号 |
19K09827
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大場 隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (50244132)
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研究分担者 |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胎児異常 / 糖尿病 / エピゲノム変異 / 尾部退行症候群 |
研究実績の概要 |
現代の日本において耐糖能異常合併妊娠の頻度は年々増加傾向にあり、もっとも高頻度に観察される妊娠合併症となっている。妊娠初期の高血糖は胎児奇形の危険因子であり、胎児形態異常は糖尿病合併妊娠における周産期死亡原因の約半数を占めている。胎児形態異常の発生率は妊娠初期のHbA1c値と相関し、妊娠初期の高血糖が胎児形態異常の発生に関わっていると推定されてきたが、その機序は不明であった。我々は糖尿病合併妊娠に疾患特異的な稀少疾患である尾部退行症候群 (caudal regression syndrome, CRS)のモデルマウスの尾部において、膵臓特異的に発現し膵臓発生に必須の遺伝子であるPtf1a遺伝子の異所性過剰発現が生じていることを明らかにした(Semba K et al. 2013)。この結果より我々はCRSの発症機序として、1)Ptf1a遺伝子あるいはその関連遺伝子にゲノム変異を持つ個体が存在する。2)この個体が、胎生期に高血糖の曝露を受けた結果、Ptf1a遺伝子が胎仔尾部に異所性過剰発現してCRSを発症する。との仮説を立てた。本研究はこの仮説を検証するため、妊娠初期に母体の高血糖に曝された児及び胎盤絨毛におけるPtf1aホモログ遺伝子の発現制御領域のエピゲノム修飾を検討するものである。 妊娠初期にHbA1cが評価され、当施設で出生に至り母児の転帰を調査し得た症例について、1型糖尿病10例、2型糖尿病9例、妊娠糖尿病10例、対照(妊娠初期にHbA1cが正常で、妊娠中の糖負荷試験でも正常値であった症例)5例について書面による同意を得て臍帯血と絨毛組織を採取しDNA, RNAの抽出を終えた。周産期死亡やCRSを来した児はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対照例の収集が予定より遅れており、6月末を目標にあと数例の集積を待って遺伝子解析を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
6月末を目標にあと数例対照群を集積し、その後にPTF1A、CDX2、T、WNT3A、CYP26A1遺伝子について発現制御領域のゲノム変異およびエピゲノム修飾についての解析を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症への対応で、計画通りに研究が実施できなかったため
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