研究実績の概要 |
埼玉医科大学総合医療センターMFICU病棟で、妊娠18週以降の同意が得られた妊婦に対して母体腹壁誘導胎児心電図(アイリスモニタ、アトムメディカル株式会社)と超音波ドプラ法による胎児心拍数記録を同時に40分間行った。2019年度の研究では、対象を正常単胎胎児(コントロール;C群)と発育不全胎児(FGR群)の2群とした。検査施行症例はC群8例(妊娠週数は各々、①22w0d, ②24w5d, ③26w3d, ④29w6d, ⑤30w5d, ⑥31w1d, ⑦32w2d, ⑧33w4d)、FGR群6例(⑨24w0d, ⑩25w5d, ⑪27w5d, ⑫30w3d, ⑬33w6d, ⑭35w5d)の計14症例である。 症例①~⑭の各々について、胎児心電図検出率は以下の成績であった(A;記録時間の70%以上で検出可能、B;記録時間の30-70%で検出可能、C;記録時間の30%以下のみ検出可能)。①A, ②A, ③A, ④C, ⑤C, ⑥C, ⑦C, ⑧A, ⑨A, ⑩C, ⑪A, ⑫A, ⑬C, ⑭A。 記録保存したデータは検査終了後に解析し統計学的検討を行う予定であった。具体的には当研究室が有しているカオス時系列解析プログラムソフトにより、母体腹壁誘導胎児心電図データと超音波ドプラ法データの双方それぞれに対して、①胎児心拍数変動のアトラクタ再構成、②最大リアプノフ指数計算とサロゲートデータ法による検定、③相関次元計算、を行い、まずは双方の結果を比較する予定であった。しかし、下記【現在までの進捗状況】で述べた経緯により研究開始が遅れ、2019年度は計14症例のみと症例数が限られたことに加えて、上記の胎児心電図検出率の検討からCと判定された6例では胎児心電図データからのカオス時系列解析が困難なため、次年度以降にさらなる症例データ蓄積がなされた後に本解析による統計学的検討を行うことにした。
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