研究課題/領域番号 |
19K09833
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
赤羽 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40398699)
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研究分担者 |
山上 亘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30348718)
片岡 史夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40306824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | RRSO / 卵巣癌 |
研究実績の概要 |
癌の早期発見は癌罹患者および癌死を減少させるうえで重要なことは言うまでもない、しかし卵巣癌は卵巣が腹腔内臓器であるという特性から早期発見が困難であり初診時に進行して診断される例も少なくない。そこで本研究は微量遺伝子変異を検出することで、卵巣癌発症前の早期介入や卵巣癌既発症例の早期再発予測を可能とする簡便な検査ツールを確立することを目的としている。近年の研究より上皮性卵巣癌は腫瘍の組織型によって発癌起源細胞や機序が異なり、卵巣外の細胞が発癌由来となっている可能性が指摘されている。したがって癌早期発見には卵巣で起こった二次的イベントではなく発癌起源細胞への対処を早期に行う必要がある。 そこで本年度は、卵巣癌発癌機序の詳細を再検討するため、BRCA1/2の生殖細胞系列の病的遺伝子variant保持し遺伝性乳癌卵巣癌症候群が疑われた症例のリスク低減両側卵巣卵管摘出術risk-reducing salpingo-oophorectomy(RRSO)検体について検討を行った。Sectioning and Extensively Examining the Fimbriated End Protocol(SEE-FIM)に従って切り出しされた卵巣、卵管および子宮の病理診断用検体の診断後残余検体14例について約400か所の卵管上皮細胞のP53蛋白発現の検出を行い、形態学的に正常の卵管上皮細胞にも検出されるP53の蛋白発現であるP53signatureと上皮内癌の可能性の高いserous tubal intraepithelial carcinoma(STIC)の有無を症例および部位別に検出した。その結果、P53signatureは卵管采およびそれ以外の部位にも検出され、STICの存在は部位による違いに加えて腫瘍の進行度による差異も影響する可能性が示唆された。なおすべての解析は患者同意のもとで実施された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は卵巣癌の早期発見および遺伝性腫瘍症例における癌発症前のRRSOの施行時期を明確化する基準となる検査手法の開発を目的としている。 本年度はRRSOの検体を使用し検査手法の基準となるデーターを取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
卵管上皮の特性を遺伝子解析へと応用させ微量の細胞変化を早期に検出することで卵巣癌早期発見のための検査法へと発展していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)次世代シークエンサー設置場所が感染症の影響で閉鎖されており解析に必要な試薬類の購入も停止していることから次年度使用額が生じた。
(次年度使用額計画)卵管上皮細胞の少数細胞をターゲットにしたDNAsequence解析を予定している。解析方法は次世代シークエンサーを使用し、DNAtargetのcustom multi-gene panelを作成して検出を行うため未使用額は遺伝子panel作成とその消耗品および成果発表のための学会参加費を予定している。
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