研究課題
進行卵巣癌は腹膜播種を伴うことが多いが、腹水中や腹腔内の浮遊細胞がどのように血管新生を誘導し、腹膜播種として病巣を形成するのか詳細は不明である。そこで我々は、患者検体より卵巣癌由来スフェロイド細胞(OvCSC)を樹立し検討を行った。細胞接着および血管新生を誘導する因子を同定し、機能解析することを目的とした。進行卵巣癌患者の腹腔内より得られた浮遊細胞を収集し、OvCSCの樹立と安定培養化を行った。OvCSC の3次元培養(A)と2次元培養(B)の比較、およびOvCSCとヒト臍帯静脈内皮細胞(HUEhT-1)との共培養(C)前後の比較を、時系列(0時間、6時間、12時間)でのMicroarray解析で行った。それぞれの比較において有意に発現が上昇した遺伝子に対して、発現量をWestern Blot法で定量化し確認を行った。発現の上昇が認められたタンパク質について、蛍光免疫染色法により細胞内発現の変化を観察した。OvCSC の3次元培養と2次元培養の比較、およびOvCSCとヒト臍帯静脈内皮細胞(HUEhT-1)との共培養のMicroarray解析において、共に発現が上昇している遺伝子を抽出し、Western Blot法を用いて発現量を確認した結果、PALMDの発現上昇がみられた。また蛍光免疫染色法による発現量の比較においても、PALMDが主に細胞質に局在しており、3次元培養と比較し、2次元培養と血管内皮細胞との共培養後では有意に発現が上昇していた。細胞形態形成、細胞動態に関わるタンパク質であるPALMDが、進行卵巣癌の腹膜播種形成における細胞接着ないし血管内皮細胞との相互作用に関連性がある可能性を見出した。PALMDを標的とする新規腹膜播種阻害剤について更なる検討を行っている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件)
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