研究実績の概要 |
子宮平滑筋肉腫の5年生存率は20%未満の難治性悪性腫瘍である。NCCNガイドライン2020年版では、第Ⅲ相試験で、子宮平滑筋肉腫に対する術後治療としての放射線照射や化学療法の有効性は、明確なエビデンスとして示されていない。子宮平滑筋肉腫に対する病理組織学的診断は、発症頻度が低く、同一組織型であっても多彩な形態を示すため、しばしば大きな困難を伴う。研究代表者らは、摘出組織における病理組織学的解析により、「Cyclin B, Cyclin E, Caveolin, LMP2/b1i, Ki-67のコンビネーションでの子宮平滑筋腫と子宮平滑筋肉腫の鑑別における免疫組織化学的バイオマーカー」の有用性と信頼性(正診率)を報告した。本研究は、国立病院機構の多施設共同コホートを基盤として、バイオマーカー候補因子Cyclin EとKi-67の発現の客観的な数値化およびATRXの発現状況による予後予測マーカーの確立を目的とする。本診断では予後予測も可能であるが、術前診断でCyclin EとKi-67の発現が確認できれば確実に悪性と判断でき鑑別が容易になる。また、ATRXの発現状況により生命予後の補助情報が提供される。
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