最終年度は、嗅神経細胞系の組織学的検証を行った。 若齢群、加齢コントロール群,加齢Vit D投与群,加齢rhIGF-1投与群,加齢rhIGF-1+Vit D投与群で比較した。一般的に、加齢マウスは若齢マウスより成熟嗅神経細胞が減少するが、加齢rhIGF-1投与群と加齢rhIGF-1+Vit D投与群では、加齢コントロール群よりも成熟嗅神経細胞が多く、SOX2陽性嗅覚前駆細胞やGAP43陽性未熟嗅神経細胞も多かった。しかし、Vit D投与群では加齢コントロール群と比較して嗅神経細胞系に有意差を認めなかった。 結果として、IGF-1は加齢による嗅神経細胞系への影響を抑制するが、Vit Dは嗅神経細胞系にとくに影響を及ぼさなかった。RT-PCRの結果と合わせて、加齢マウスへのIGF-1投与は炎症性サイトカインを抑制し、細胞外マトリックスを増加させ、嗅神経細胞系への加齢性障害を緩和させると考えられた。
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